武藤敬司、内藤哲也との2・21引退試合で目指す「プロレス史上最大の夜」…連載「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」〈10〉

スポーツ報知
新日本プロレスの1・21横浜アリーナ大会で引退試合の相手に内藤哲也(左)を指名した武藤敬司(カメラ・今成 良輔)

 プロレス界のスーパースター武藤敬司(60)が2月21日に東京ドームでの内藤哲也戦で引退する。新日本プロレスに入門した1984年10月5日のデビューから全日本プロレス、WRESTLE―1、プロレスリング・ノアと渡り歩き常にトップを驀進したカリスマ。さらに化身のグレート・ムタでは全米でトップヒールを極めるなど世界で絶大な人気を獲得した。スポーツ報知では38年4か月に及ぶプロレス人生を「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」と題し14日から連載中。10回目は、引退試合の相手を新日本プロレス「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の内藤哲也(40)に決めた背景を探る。また、報知では2月18日(予定)にタブロイド新聞「武藤敬司 引退特別号」を発売します。(取材・構成 福留 崇広)

 引退試合の対戦相手が不明の異常事態が続いた武藤の引退試合。ネット上で様々な予想が飛び交うなか、武藤は、新日本プロレスの1・21横浜アリーナ大会で最後の対戦相手に内藤に指名。これを受けてプロレスリング・ノアは、グレート・ムタのラストマッチとなった1・22横アリで正式に内藤との引退試合を発表した。

 今回の連載2回目で引退興行を取り仕切るプロレスリング・ノアのフロントトップの武田有弘氏は、最後の相手はすべて武藤自身が決めることを強調。その上で「恐らく武藤さんの中では、何人かにかなり絞られているはずです」と明かしていた。

 引退試合の1か月前での対戦相手決定。再び武田氏を取材した。武田氏は、武藤が内藤を指名したことを「さすが武藤さんは、センスがいい」と明かした。その理由を「(昨年7月16日に日本武道館で始まった)引退ロードをずっと見ていると、武藤さんは過去の歴史にプラスしてプロレス界の未来を入れてくるんです。だから、内藤選手と最後に戦うことで未来を見せたいという思いを感じるんです」と明かした。

 さらに武田氏は、武藤が内藤を指名したバックステージでの発言に注目した。

 「武藤さんは、内藤選手との試合で元日のグレート・ムタ対SHINSUKE NAKAMURA戦を“超えたい”と言いました。歴史を見ると、武藤敬司にとって常にグレート・ムタを超えたいというジェラシーがありました。その意味で最後の最後もムタを超えるための挑戦であることを表現しました。この考えも武藤さんのセンスの良さを感じました」

 さらに新日本のリングで内藤を指名した「センス」も武田氏は脱帽する。武藤はメインイベントでノアの拳王を破ったリング上で内藤に呼びかけた。

 「僕自身、“誰と誰が対戦します”ということだけを発表するマッチメイクプロレスは好きじゃないんです。重要なのは、ストーリー、つながり、流れ、タイミングです。そういう意味であの日の横浜アリーナであの流れから内藤を指名したのは武藤さんは、さすがです。しかも、あれは、武藤さんだからできたんです。他の選手だったら自信満々に“お前に決めた”って指名できません。他のレスラーが同じことをやれば、内藤選手に“NO”と言われて終わったと思います。しかも新日本という他団体のリングをジャックして指名したんです。これはすごいことです」

 武藤と内藤は2012年1月4日に東京ドームで対戦し武藤が勝利している。内藤は、中学1年時に1995年10月9日に東京ドームで武藤が高田延彦を破った歴史的な一戦をドームで観戦し武藤にあこがれプロレスラーを目指した。そして今の地位を築いた。いわば内藤にとって武藤は、人生を導いた存在。その武藤のラストマッチで対戦することは劇的な運命でもある。

 一方で内藤とのラストマッチにネット上では、早くも賛否が起きている。この反響を武田氏は真っ向から受け止めていた。

 「我々が唯一、経験してなかったのが賛否の『否』なんです。なぜかっていうと、市場が小さい中でしか生きてこなかったから『否』なんか起きなくて『賛』しかなかったんです。そういう意味で『否』の反響が出ていることで僕は今、初めて大きな市場に出たなって感じています。『否』が出たことでプロレスが業界だけじゃなくて一般に届いている手応えがものすごくあるんです」

 大きな反響を呼んでいる「武藤対内藤」。ただ、ノアのフロントトップとして武田氏は、武藤がノアの選手を指名しなかったことをどう捉えているのだろうか。 「僕が引退試合で武藤さんに条件を出しことがあるんです」と切り出し、こう説いた。

 「それは、東京ドームでプロレス史上最大のビジネスをしたいとリクエストしたんです。チケット、PPV、グッズ、話題、ネットニュース…すべてをプロレス界史上最大の夜にしてくださいと頼んだんです。そこで武藤さんは内藤選手を選んだ。確かにノアの選手ではありませんでした。だけど、ノアというひとつの団体だけでこの引退試合が終わるのはダメだと思うんです。プロレス界の未来のためにドームを使いたい。しかも、ノアの選手は、引退試合の対戦相手じゃなくてもその日、ドームに出る選手は全員にチャンスがあると思います。つまり、東京ドームですべての試合で自分が一番輝けばいいんです。武藤対内藤を食っていいんです。そういう意味でノアの選手にも十分未来ある可能性があります」

 2・21ドーム。新日本のIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカとノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗が一騎打ちする。そして武藤がかつて社長を務めた全日本プロレスから三冠ヘビー級王者の宮原健斗が参戦する。メジャー3団体のシングル王者がそろい踏みするオールスター戦となった。さらに武藤の引退試合も含めラスト3試合は「ノア対新日本」の対抗戦だ。あの1995年10月9日、同じドームで新日本とUWFインターナショナルとの全面対抗戦でUの高田延彦を破ったのが武藤だった。そんな伝説の再現も引退試合には感じる。言えることは武藤も武田氏も最後まで挑戦することを選んだということだ。そして、そのチャレンジこそプロレスの未来を照らすことになると信じている。

 2・21東京ドーム。武田氏が掲げた「プロレス史上最大の夜」へプロレス界全体が驀進する。

 次回から武藤の38年4か月に渡るプロレス人生の源流をたどる。(続く)

 武藤敬司引退試合2・21東京ドーム全対戦カード

 ▼スターティングバトル第1試合タッグマッチ(午後4時開始)

マサ北宮、稲葉大樹 vs 稲村愛輝、矢野安崇

 ▼スターティングバトル第2試合8人タッグマッチ(東京女子提供試合)

坂崎ユカ、山下実優、中島翔子、辰巳リカ vs 瑞希、伊藤麻希、渡辺未詩、荒井優希

 ▼スターティングバトル第3試合6人タッグマッチ

杉浦貴、小島聡、ティモシー・サッチャー vs ジェイク・リー、ジャック・モリス、アンソニー・グリーン

 ▼第1試合10人タッグマッチ(午後5時開始)

小川良成、Eita、HAYATA、クリス・リッジウェイ、ダガ vs 小峠篤司、YO―HEY、吉岡世起、アレハンドロ、宮脇純太

 ▼第2試合8人タッグマッチ(DDT提供試合)

MAO、勝俣瞬馬、上野勇希、小嶋斗偉 vs 遠藤哲也、岡谷英樹、高鹿佑也、正田壮史

 ▼第3試合6人タッグマッチ

丸藤正道、イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.、ニンジャ・マック vs シュン・スカイウォーカー、KAI、ディアマンテ

 ▼第4試合6人タッグマッチ

宮原健斗、諏訪魔、青柳優馬 vs 拳王、中嶋勝彦、征矢学

 ▼第5試合6人タッグマッチ

NOSAWA論外、MAZADA vs 外道、石森太二

 ▼第6試合

AMAKUSA vs 高橋ヒロム

 ▼第7試合

清宮海斗 vs オカダ・カズチカ

 ▼メインイベント武藤敬司引退試合

武藤敬司 vs 内藤哲也

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