「日本一速い監督」上野裕一郎、歓喜のゴールで長野がV…大会新記録で2大会連続最多9度目の頂点

スポーツ報知
トップでゴールする長野・上野裕一郎(カメラ・谷口 健二)

◆全国都道府県対抗男子駅伝(22日、広島市平和記念公園前発着)

 立大監督の上野裕一郎(37)がアンカーを務めた長野が、2時間17分10秒の大会新記録で優勝。過去2年は新型コロナの影響で大会は開催されず、20年に続く頂点で最多9度目の制覇を果たした。高校生が務めた3区間でいずれも区間新記録をマーク。4区で首位に立つと、最終7区(13キロ)で「日本一速い監督」の上野が激走した。25秒差の2位は埼玉。3位に東京。(曇り、気温8・4度、湿度40・7%、無風=午後0時30分スタート時)

 今年の箱根駅伝(2、3日)で立大を55年ぶりの出場に導いた上野監督が、その19日後に選手として安芸路で主役になった。トップでタスキを受けた「日本一速い監督」は13キロを力走し、優勝のゴールテープを切った。長野の優勝9回中6回、Vメンバーに名を連ね、4回がアンカー。いずれも大会最多。まさに“ミスター都道府県駅伝”だ。

 「こんなに幸せなことはない。でも、僕がいつまでも走っているようではダメです」。今大会がラストランとなる覚悟で走った。チームメートは最大で22歳も年下。「高校生は3区間とも新記録でびっくり。中学生にも助けられた。力のない37歳を走らせていただき、ありがとうございます」と謙虚に頭を下げた。

 37歳にして健在。47人中、区間12位ながら「自分のタイムよりもチームの順位を守ることを最優先させた。若い頃はできなかった走りができました」と冷静に話した。

 フォア・ザ・チームの“安全運転”。それでも青学大エース近藤幸太郎(4年、愛知)とわずか9秒差。駒大の箱根Vメンバー安原太陽(3年、滋賀)、箱根10区で区間賞を獲得した順大の西沢侑真(4年、静岡)、そして、立大エース格の林虎大朗(2年、福岡)らに勝った。長野3区で8位と健闘した早大の伊藤大志(2年)は「上野さんはチームメートですけど、よく考えると他校の監督。不思議な感覚です」と話した。

 18年12月に立大監督に就任した上野は、選手と一緒に走るという独特のスタイルでチームを強化。昨年10月の箱根駅伝予選会で6位通過し、大会史上最長となる55年ぶりの“返り咲き”出場に導き、本戦で18位となった。昨年11月の日体大長距離競技会5000メートルでは13分39秒95で日本人トップになるなど、現在も学生トップと同レベルの走力を持つ。「学生を指導することで現役時代より心がアップデートされました」と充実の表情で話した。

 「僕は市民ランナー。本職は監督です」と上野は常々、話す。立大を強豪校に育て上げるため「日本一速い監督」は、全力で走り続ける。(竹内 達朗)

 ◆上野 裕一郎(うえの・ゆういちろう)1985年7月29日、長野・佐久市生まれ。37歳。佐久長聖高入学と同時に本格的に陸上を始め、3年時に1万メートル28分27秒39の日本高校記録(当時)をマーク。2004年、中大に入学。箱根駅伝は1年1区19位、2年3区3位、3年3区1位、4年3区2位。08年、エスビー食品に入社。09年ベルリン世界陸上5000メートル出場(予選敗退)。13年、エスビー食品の廃部に伴いDeNAに移籍。18年12月に立大監督に就任。181センチ、62キロ。

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