貴景勝 11日目の首負傷隠し強行V…埼玉栄高恩師・山田道紀監督涙「命を懸けた。本物のプロフェッショナル」

スポーツ報知
貴景勝(左)が琴勝峰をすくい投げで下し3度目の優勝を決めた(カメラ・今西 淳)

◆大相撲 ▽初場所千秋楽(22日、東京・両国国技館)

 大関・貴景勝が2020年11月場所以来、13場所ぶり3度目の優勝を果たした。3敗同士となった東前頭13枚目・琴勝峰との相星決戦をすくい投げで制し、4場所連続平幕Vを阻止。125年ぶりに1横綱1大関となり、横綱・照ノ富士も不在の中、出場力士最高位としての意地を示した。春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)では再び綱取りに挑む。元大関の西十両12枚目・朝乃山(28)=高砂=は14勝目をマークし、来場所の再入幕を決定的とした。

 貴景勝が痛みを隠し、意地を貫き通した。大関ながら約2年も遠ざかっていた賜杯。2日目以降は無言を貫いていた大関の口からは、周りへの感謝があふれた。「誰もが大関になれるわけではないので、重圧を感謝に変えてこの2年間取り組んできた。番付上は優勝するしかないので、一つ報われたのかな」。晴れの支度部屋では、20年に結婚した元大関北天佑の次女・有希奈夫人と長男と、初めて一緒に喜びを分かち合った。

 埼玉栄高3学年後輩・琴勝峰との優勝を懸けた一騎打ち。立ち合いはもろ手で突き起こし、左が深く入ると、こん身のすくい投げで裏返した。決着の土俵上では史上初めて千秋楽相星決戦に挑んだ平幕の肩をポンッと叩いた。「土俵に上がったら力を出し切らないといけない。そういう意味のあれだった」。後輩思いの大関なりのエールだった。

 重圧と闘い続けた。今場所は125年ぶりの1横綱1大関、61年ぶりの4関脇4小結という歴史的な番付だった。初日から横綱・照ノ富士が負傷で休場して不在。最上位力士となった貴景勝は連日のように口、鼻から流血する激戦を繰り広げ、結びを務め上げたまな弟子に、師匠・常盤山親方(元小結・隆三杉)も「満身創痍(い)の中、一生懸命やっていますよ」と感心。八角理事長(元横綱・北勝海)も「相当のプレッシャーの中でよく優勝した。今までで一番価値がある優勝ですよ」と絶賛した。

 首の負傷を隠していた。今場所中も毎日電話していた恩師の埼玉栄高・山田道紀監督(57)は、実は貴景勝が11日目の琴ノ若戦で古傷の首を痛めていたことを明かした。翌・霧馬山戦では力なく連敗し「今だから言えますが、あの状況では休むと思いました」。だが想像を絶する重圧と闘う教え子は恩師が「命を懸けた」と評した“強行出場”を選択。優勝を懸けた結びの一番で勝利を見届けると涙があふれ「痛みを見せずに乗り切る精神力に感動した。彼の精神力、本物のプロフェッショナルです」と感涙した。

 史上最長を更新する4場所連続の平幕Vは阻止。一人で看板力士の威厳を保った。今場所の綱取りは絶望的だが、この日の白星で来場所に望みをつなげた。「謙虚に日々の生活と稽古を頑張っていけば、いずれ報われてくるという思いで頑張っていきたい」と貴景勝。不屈の大関は、文句なしの連覇で夢の番付をつかみ取る。(竹内 夏紀)

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