オカダ・カズチカの「本気」を呼び起こした清宮海斗の顔面蹴り…2・21東京ドームでの一騎打ちに高まる期待

スポーツ報知
21日の新日ノア対抗戦で場外でオカダ・カズチカにドロップキックを浴びせた清宮海斗(右、カメラ・今成 良輔)

 これもプロレスが内包する最大の魅力の一つ。「ノアの未来」と言われる26歳の若者が1年間で驚くべき成長を遂げ、現在、日本最強と目されるレスラーとの一騎打ちをつかみ取った。

 21日、横浜アリーナに5533人の観客を集めて行われた新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM 17 in 横浜アリーナ」大会。昨年に続き行われた新日とプロレスリング・ノアの全面対抗戦だったが、話題の中心はメインイベント終了後にサプライズ登場、2月21日の東京ドームで行われる自身の引退マッチの相手に内藤哲也(40)を指名したレジェンド・武藤敬司(60)が、かっさらっていった。

 だが、会場に詰めかけたファンの心を一気につかみ、ヒートアップさせた一戦があった。

 第4試合で行われた対抗戦タッグマッチ。新日のIWGP世界ヘビー級王者・オカダ・カズチカ(35)が真壁刀義(50)と組んで、ノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗(26)、稲村愛輝(30)組と激突したこの試合がとんでもない展開となった。

 オカダと清宮は昨年の1・8横浜アリーナでの新日ノア対抗戦メインイベントで、オカダは棚橋弘至(46)、清宮は武藤と組んで対戦。かねてからオカダ戦を熱望していた清宮は奮闘も最後はオカダがレインメーカーで貫禄勝ち。試合後、倒れ伏して涙する清宮をリング下に蹴り落としたオカダが「こんなんで泣いてんじゃねえぞ! 帰れ、邪魔だ、オラ!」と厳しい言葉を浴びせる場面があった。

 あれから1年。清宮は昨年9月にノア最高峰のGHCベルトを戴冠。1・4東京ドームでジェイ・ホワイト(30)からIWGPヘビー王座を奪還したオカダと、この日のリングで両団体の最強王者として並び立ったのだった。

 ファン待望の大一番は序盤から大荒れに。ゴング前からオカダに手をかざして対戦を要求した清宮だったが、オカダは首を横に振って相手にせず、リング外へ。真壁と稲村の先鋒対決となった。

 そして、“事件”は起こった。稲村をグラウンドで捕獲していたオカダの背後から清宮が顔面蹴り。額から出血したオカダは激怒し、清宮を場外に叩き落とすと、キックの乱れ打ち。清宮もパンチの連打で反撃。場外でのドロップキック、バックドロップと暴走する清宮を稲村が必死で止める。ヒートアップしたオカダも真壁が後ろから羽交い絞めにした。

 両者とも場外乱闘を続けたため収拾がつかず、レフェリーがゴングを要求。わずか6分35秒でノーコンテスト試合となった。

 その後も真壁、稲村が必死で止める中、大乱闘を続けた2人。清宮は場外でマイクを持つと、オカダに「ビビってんのか、おい! ビビってんのか! ビビってんなら帰れ! コノヤロー」と1年前に自分が浴びせられた「帰れ!」の文言をあえて使って挑発。

 オカダは追いすがるカメラマンに「撮ってんじゃねえよ!」と叫ぶと、「待ってろよ! コラー」と絶叫。通路のパーテーションを破壊しながら、ノーコメントのまま引き上げた。

 一方の清宮は汗まみれでバックステージに現れると、「オカダ・カズチカ! 俺は絶対、あいつをやってやるよ! どこでもいいぞ。あいつと組んでくれよ! 俺はこんなに熱くなってるんだよ!」と、団体側に早期のオカダとのシングルマッチ実現を要求した。

 叫び続ける清宮の真横。その汗まで飛んできそうな距離でその声を聞き届けた私は、その絶叫に、このトップレスラーの確かな成長を感じ取った。

 振り返れば1年前の試合後、オカダに「帰れ!」と一喝された清宮はひたすら号泣するばかり。34歳年上の武藤が肩を貸して「よくやった。よくやったよ、おまえ。頑張った!」と声をかけても、インタビュールームのフロアに崩れ落ち、さらに泣き続けた。

 自身のコメント中に泣きながら1人で控室へと去っていった、その背中に「まだ始まったばっかりだよ。まだ今からだよ、おまえ」と優しく声をかけた武藤の姿も昨日のことのように覚えている。

 一方でオカダの愛のムチも覚えている。バックステージで「レインメーカー」は「僕が言うと、ちょっとひどいことになってしまうかもしれないので…。それぐらい(自分との)差を感じたと思いますし、あんな、泣いてる場合じゃないよって」と、まずバッサリ。

 「清宮選手だったけど、もう、清宮君かな。呼び捨てにもできない(低い)レベルで。本当にめちゃめちゃ悔しいと思いますよ。でも、これが実際の差。悔しいなら、新日に来ればいいしね。いいじゃん、また、ノアに戻ればいいんだから。海外修行のように、何年か(新日に)上がって、自信がつけば、またノアに戻る」とノアを新日の道場扱いした上で「いつまでもノアの中で育って、ノアでトップになれるかもしれないけど、プロレス界、外に出てみたら、海は広いなと。それぐらい、差があったと思います」と厳しく突き放した。

 オカダ自身が闘龍門から2007年に新日に移籍した当時は身長こそ191センチとずば抜けて高いものの高山善廣(56)やノアの潮崎豪(41)らにおもちゃのように蹂躙(じゅうりん)される試合を経て、急成長。11年に「レインメーカー」として米国から凱旋帰国して以降、新日のトップに登り詰めた経験を持つゆえの言葉だった。

 あれから1年。180センチ、98キロの均整の取れたボディーに天性の身体能力と抜群のスター性。誰もが「ノアの未来」と認める清宮は、1年前の屈辱と涙を糧に明らかに大きくなった。そして、1・21の大舞台で死角からの顔面蹴りという手段はどうあれ、見下され続けてきたオカダを“ガチ切れ”させ、無理矢理、自身の存在を認めさせて見せた。

 そして、一夜明けた22日。横浜アリーナで行われたグレート・ムタのラストマッチ「ABEMA presents GREAT MUTA FINAL ”BYE―BYE”」大会の会場で、2月21日、東京ドームで行われる武藤の引退大会「MUTO GRAND FINAL PRO―WRESTLING “LAST” LOVE~HOLD OUT~」での清宮―オカダ戦実現が電撃発表された。

 屈辱の体験と流した大粒の涙を経て、最高峰の舞台での新日最強の男との一騎打ちを実現させた清宮。舞台は整った。「ノアの未来」が2・21東京ドームで、そのポテンシャルのすべてを解き放つ瞬間が、私は楽しみで仕方がない。(記者コラム・中村 健吾)

 

◆武藤敬司引退試合2・21東京ドーム全対戦カード

 ▽スターティングバトル第1試合タッグマッチ

 マサ北宮、稲葉大樹―稲村愛輝、矢野安崇

 ▽スターティングバトル第2試合8人タッグマッチ(東京女子提供試合)

 坂崎ユカ、山下実優、中島翔子、辰巳リカ―瑞希、伊藤麻希、渡辺未詩、荒井優希

 ▽スターティングバトル第3試合6人タッグマッチ

 杉浦貴、小島聡、ティモシー・サッチャー―ジェイク・リー、ジャック・モリス、アンソニー・グリーン

 ▽第1試合10人タッグマッチ

 小川良成、Eita、HAYATA、クリス・リッジウェイ、ダガ―小峠篤司、YO―HEY、吉岡世起、アレハンドロ、宮脇純太

 ▽第2試合8人タッグマッチ(DDT提供試合)

 MAO、勝俣瞬馬、上野勇希、小嶋斗偉―遠藤哲也、岡谷英樹、高鹿佑也、正田壮史

 ▽第3試合6人タッグマッチ

 丸藤正道、イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.、ニンジャ・マック―シュン・スカイウォーカー、KAI、ディアマンテ

 ▽第4試合6人タッグマッチ

 宮原健斗、諏訪魔、青柳優馬―拳王、中嶋勝彦、征矢学

 ▽第5試合6人タッグマッチ

 NOSAWA論外、MAZADA―外道、石森太二

 ▽第6試合

 AMAKUSA―高橋ヒロム

 ▽第7試合

 清宮海斗―オカダ・カズチカ

 ▽メインイベント武藤敬司引退試合

 武藤敬司―内藤哲也

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