ノムさんも後悔した“体罰”「お父さんやお母さんに対しても申し訳なかった」…指導者もアップデートを

若林弘泰監督
若林弘泰監督

 日本学生野球協会は20日、オンラインで緊急審査室会議を開き、部員への体罰と東京都高野連への報告義務違反があったとして、昨秋の東京大会優勝校・東海大菅生(東京)の若林弘泰監督(56)に昨年12月5日から4か月の謹慎処分を科した。若林監督のセンバツでのベンチ入りはできなくなった。これを受けて日本高野連はセンバツ大会の運営委員会を開き、東海大菅生が選出された場合、大会出場に支障がないことを確認した。センバツ出場校は27日に発表される。

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 「集中力が欠けている」

 野村克也さんはヤクルト監督時代の1992年夏、神宮でチャンスに打席へと向かう選手を、ポカリと殴ったことがある。

 翌日、遠征先の広島に着くと、ナインを集め、殴った選手に謝った。

 「お父さんやお母さんに対しても申し訳なかった。ついカッとなった」

 この逸話からは2つのことが分かる。1つは百戦錬磨の知将といえども、感情の制御…アンガーマネジメントは難しいということ。もう1つは全盛期の名将が、“体罰”を行ったことを素直に反省し、ナインの前で頭を下げたという事実だ。

 数年前、冬場に若林監督がナインにノックを行う光景を見たことがある。寒風吹きすさぶグラウンド。指揮官は鬼気迫る表情で選手に向かっていた。一対一の真剣勝負。選手にうまくなってほしい、現状を打破してほしいとの熱き思いを込めて、1球1球に魂を込めているのが伝わってきた。

 若林監督は選手への愛情にあふれた、情熱的で尊敬できる指導者だ。だからこそ、今回の件がやりきれない。

 大前提として、体罰は絶対にいけない。だが、現実にはまだある。そんな現状を、もう終わりにしたい。選手も保護者も、そして指導者も。野球に関わる全員が不幸になる。誰も幸せにならない。

 ビジネスマンも意識をアップデートしないと生き残れない時代だ。体罰禁止は法律で定められている。指導者の方々もルールを順守した上で、知恵を絞り、意見を持ち寄って、創意工夫を重ねて新しい指導法を確立してほしい。

 あの夏の日、選手に詫びた野村さんは晩節になるまで、言葉で選手を発奮させることに心血を注いだ。(編集委員・加藤 弘士)

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