日本学生野球協会は20日、オンラインで緊急審査室会議を開き、部員への体罰と東京都高野連への報告義務違反があったとして、昨秋の東京大会優勝校・東海大菅生(東京)の若林弘泰監督(56)に昨年12月5日から4か月の謹慎処分を科した。若林監督のセンバツでのベンチ入りはできなくなった。これを受けて日本高野連はセンバツ大会の運営委員会を開き、東海大菅生が選出された場合、大会出場に支障がないことを確認した。センバツ出場校は27日に発表される。
審査室会議の報告によれば、体罰問題が起きたのは昨年8月31日の練習試合。1年生のA君がカバーリングを怠った際、若林監督はA君の尻を一発蹴った上で、厳しく叱責した。10月上旬、A君は自信を喪失したこと、同校で野球を続けられない旨を宮原上総(かずさ)部長(33)に相談した。宮原部長は一度、保護者と相談した方が良いと判断。帰宅させた。
11月上旬には監督、部長とA君、保護者の4者面談を行った。監督の体罰が問題視され、A君は転校の意思を表明。監督と部長は翌日、面談内容と監督の体罰について学校長に報告した。その後、監督と部長は2度、A君と面談したが、転校の意思は変わらず、11月下旬に転校の手続きを行った。12月下旬にA君の保護者が東京都高野連に電話で情報を提供し、校外にも話が伝わることになったという。
年明け、日本高野連が事実関係を調査して審議を予定していたところ、17日に「文春オンライン」がこの件を報道。1、2年生部員全員から事情を聞き、若林監督が昨年8、9月の練習試合で2年生B君、1年生C君に平手打ちしたことが新たに分かった。なお、A君からは警察に被害届が出されている。
若林監督への処分は、体罰と報告義務違反で、昨年12月5日から4月4日までの4か月謹慎。宮原部長も報告遅れのため、1月4日までの1か月謹慎となった。なお規定により、両者ともセンバツでのベンチ入りはできなくなった。
チームのセンバツ選考には問題なしとの見解だ。日本高野連は現在、選手第一の姿勢を貫き、あくまで指導者の不祥事と判断された。日本学生野球協会理事の尾上良宏氏は「自分をコントロールできるかが、教育に携わる者には求められている。謹慎という処分は、反省して次に行ってほしいという気持ち」と説明した。若林監督は自主的に校長へ、体罰はしない旨の宣誓書を出したという。同校では後日、会見を行う予定。27日にセンバツ出場校に選出されれば、監督、部長とも代行を立てて大会に臨むことになりそうだ。
◆若林 弘泰(わかばやし・ひろやす)1966年4月22日、神奈川・茅ケ崎市生まれ。56歳。東海大相模から東海大、日立製作所を経て91年ドラフト4位で中日入り。引退後は会社員を経験後、名城大に2年間通い、社会科の教員免許を取得。07年に東海大菅生に赴任。09年に監督に就任。春夏計4度の甲子園出場に導き、17年夏には4強入りした。教え子には巨人・高橋優貴投手らがいる。