【大学野球】近畿学生2部の太成学院大にプロ注目の二刀流がいた!最速153キロ右腕の田中大聖は驚異のOPS 

スポーツ報知
ポーズをとる太成学院大・田中大聖(カメラ・渡辺 了文)

 近畿学生野球リーグ2部の太成学院大にプロ注目の二刀流がいた! 最速153キロ右腕の田中大聖(やまと、3年)は、昨秋のリーグ戦で強打者の指標とされるOPS(出塁率+長打率)で驚異の1.345をマーク。専用グラウンドがない環境ながら、大学入学後のウェートトレーニングなどで急成長した。甲子園出場経験者が部員47人中2人だけという同校から、初のNPB入りを目指す。

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 近畿学生野球リーグの2部に、プロ注目の二刀流がいた。太成学院大の田中は「投手と野手の評価された方でプロに行きたい」と目標を掲げた。

 入学直前に右肘の疲労骨折が判明したため、これまでは指名打者や一塁での出場が多いが、昨年6月の大学関西オールスター・5リーグ対抗戦などで153キロを計測。昨秋のリーグ戦では10試合で4本塁打を放ち、OPSは驚異の1.345(出塁率0.553+長打率0.792)。1部よりも相手投手のレベルが落ちるとはいえ、強打者ぶりがうかがえる。

 鶴岡東高(山形)では、3年夏の甲子園で3回戦に進出したものの、自身は背番号18で出場はなし。「自分のレベルに限界を感じた。野球をやめようかなと思っていた」。理学療法士の道に進むことも考えたが、父親らに説得され、スポーツ推薦で地元の大学に進学した。急成長したのは、コロナ禍が転機だった。

 授業はオンラインで練習も停止。「何をしようかなと考えたときに、24時間営業のジムだけが開いていた」。ほぼ毎日のように通い、トレーナーらと出会った。指導を受けた結果、体重は高校時代から約20キロも増えた。ウェートトレーニングで鍛えた太ももは71センチ。競輪のトップ選手に匹敵する。「全部で力強くなった」。右肘痛が癒えて昨年3月に投球練習を再開すると、148キロが出た。入学前から球速は約15キロ、50メートル走は0秒5も速くなり、5秒7になった。

 1部で戦った経験がない太成学院大は、専用グラウンドや室内練習場がなく、約40×100メートルの人工芝グラウンドを強豪の女子ソフトボール部と共用している。近隣の球場で練習するのは平日の週2回程度。授業で使うゴルフ練習場に打撃ケージとブルペンを設置している。2005年の創部から携わり、人間学部健康スポーツ学科教授の雑賀亮一監督(58)は「自分で能力を高めてきたのが田中のいいところ」と、ゼミ生の教え子を評価する。

 部内で甲子園出場経験者は田中と、高校でチームメートだった宝田健太内野手(3年)の2人だけ。2部で注目度は低いが「(当初は)社会人野球に行きたかったので、目立たないと始まらない。自分の中ではラッキー。野球だけは目立ちたい」と前向きに捉えている。スカウトの間では評判になっており、4球団以上が視察した。ソフトバンクの稲嶺スカウトは「体にもボールにもスイングにも力がある。投手と野手の両方を見て、どちらの方向かを見極めていきたい」と、今後の成長に期待した。

 現在、同リーグ1部の大阪観光大・久保修外野手は、昨年10月のドラフト会議で広島から7位で指名された。2部で力をつけたことや、高校限りで野球をやめようとしたことなど共通点が多い。親交がある久保から「上でやるんやったら、プロを目指したら?」と激励されたことが、夢舞台を目標にするきっかけになった。「インパクトを残すのがいい。目に留まるようなプレーを見せられるように」。昨春まで宅配ピザのアルバイトをしていた田中が、同校初のNPB入りという朗報を届ける。(伊井 亮一)

 ◆田中 大聖(たなか・やまと)2002年1月29日、大阪・藤井寺市生まれ。20歳。藤井寺小2年から軟式の小山ジャンボで野球を始める。同市立第三中では硬式の河南シニアでプレー。鶴岡東では1年秋からベンチ入り。2年冬から投手。太成学院大では2年秋に首位打者。ベストナイン3度。球種は得意のカットボールとフォーク、カーブ、スライダー、チェンジアップ。22年北京五輪スノーボード男子ハーフパイプ12位の平野流佳とは1、2年でホームルームメート。178センチ、95キロ。右投左打。

 ◆OPS 出塁率と長打率を足した指標で「On―base percentage Plus Slugging percentage」の略。2000年代から重視され始めた。通常.900を超えると一流選手とされる。昨季は、ヤクルトの村上が1.168、オリックスの吉田正が1.008と2人が1.000を超えた。昨季、ア・リーグ新記録の62本塁打を放ったA・ジャッジ(ヤンキース)は1.111。日本最高記録は通算1.080、74年の1.293と、ともに王貞治が持っている。

 ◆太成学院大 所在地は大阪・堺市。学校法人天満学園が1987年に大阪短大を開学。98年に4年制の南大阪大学に改組。03年に現校名に変更。人間、看護、経営の3学部5学科。野球部は05年創部で同年に近畿学生野球連盟に加盟。同じ学校法人の太成学院大高からは、11年のドラフト2位で今村信貴投手が巨人に指名された。主な卒業生は小崎まり(女子マラソン)。

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