広島の新井貴浩監督が19日、和歌山・高野町の高野山別格本山「清浄心院」で護摩行に臨んだ。2004年12月に始め、今年20年目。燃え上がる火柱と格闘しながら、約1時間40分。池口恵観大僧正が選んだ言葉「広島優勝、心願成就」を5分間にわたって絶叫で連呼するなど、5年ぶりリーグ優勝への思いを強くした。
恒例の苦行は「1年でも空けてしまうと、自分がすごくダメになりそう」と引退後も人知れず継続してきた。立場も変わって「願うことも変わる」と新たな気持ちで炎と向き合った。真っ赤な顔で「現役のときは、自分(の願い)だったけど、選手のことを思って。本当に全員ケガなく暴れ回って欲しい」と願った。
引退後は夏などに取り組むこともあったというが、現役の頃と同様に年明けにした。「またユニホームを着るにあたって、この時期。ここで一気にグッと気持ちを締めてキャンプへ入っていく。スタートに向けてのスイッチを入れる。そういう節目。苦しさを知っている分、やる前は今でも怖い。でも、やり終わった後は気持ちがグッと引き締まる。これは初めてのときも今も一緒。なかなかシーズン中、うまくいかないことの方がはるかに多いと思う。そういう時に『もうダメだ』じゃなしに前向きになれる、そんな行だった」と振り返った。
長年、護摩行に取り組む姿を見守り続けた池口大僧正は、新監督に「勇猛(ゆうみょう)精進」という言葉を贈った。「常に精進、全てにおいて主人を。監督に光りがなかったらダメ。大きなオーラを出して自信と誇りを持って優勝して欲しい。監督になったから、とにかく優勝。この行は苦しいですから。苦しい時期があっても、これを考えたら乗り切れる」と期待を込めた。