巨人の菅野智之投手(33)が18日、エースの役割を果たし、自他共に納得する一年とすることを誓った。沖縄・宮古島での自主トレを公開し「(今季は)自分自身もファンの皆さんも納得できるような結果を見せられる自信がある。巨人の場合は背中で(引っ張る)というよりも成績なので」ときっぱり。2017年から2年連続沢村賞に輝いた右腕がエースとしてのプライドをマウンドで見せつける。
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淡々とした口調の中に、確かな自信と今季にかける覚悟がにじんでいた。沖縄・宮古島での自主トレを公開した菅野は、ここまでの取り組みに充実感を漂わせながら個人、そしてチームとしての目標を定めた。
「やっぱりリーグ優勝、日本一しかないと思う。自分もここ数年、納得のいく数字を残せていない。(今季は)自分自身もファンの皆さんも納得できるような結果を見せられる自信がある」
今までの菅野の発言から「納得できる」数字として目指すは15勝。さらに最多勝、200イニングを投げ、貯金10を一人で稼ぐことを頭に描いているはずだ。18年には、202イニングで15勝を挙げ、2年連続の沢村賞に輝いた実績がある。高いハードルだが、ファンの期待も同様のレベルだろう。5年前の無双投球でスーパーエースとしての姿を再び見せていく覚悟がある。
力強い言葉は万全の調整が進められている証し。20年オフはメジャー球団との交渉で渡米、隔離もあって思うような自主トレができず、昨季は下半身のコンディション不良があった。だが今年は違う。3年ぶりのハワイ自主トレでは、前回の自身を上回る重量をこなし「めちゃくちゃ追い込んだけど体は元気」と回想。同行する山崎伊が「限界までやって倒れたりしている」と証言するほど、肉体を追い込み、見た目にも強靱(きょうじん)さが増した。
体を支えるのはエースの矜持(きょうじ)。今年10月で34歳。後輩たちの高い壁で居続けることが巨人のためだと理解している。「簡単に今年(エースの座を)明け渡すようなことがあれば、僕、チームにとってもいいことじゃない。あと一年でも長く。巨人の場合は背中でというより成績なので、全チームの中で1番の成績を残せるくらいにならないとダメ」。厳しいハードルを設定し、自らを奮い立たせている。
今回の自主トレに同行させた山崎伊、堀田は未来を担う有望株。衣食住を提供し、技術や知識を伝える中で「今年は期待できるんじゃないかな。負けていられないと刺激をもらっている」。成長著しい若い力も士気を高める要因となっている。
土台を着々と積み上げる中で自信は深まる。「去年よりも現時点で良い状態。投げる方、トレーニングに関しても高い水準でできている」。エースの言動から、一切の不安は感じられない。(小島 和之)