ＲＩＫＡＣＯ「新世代の演劇を応援したい」長男・渡部樹也とタッグの舞台でＺ世代のリアル描く

　タレントのＲＩＫＡＣＯ（５６）がプロデュースし、長男の渡部樹也（２８）が作・演出を務める舞台「どうか妹だけは助けてください」（２月３～５日、東京・池袋のシアターグリーンＢＯＸ　ｉｎ　ＢＯＸ）の稽古場が１８日に公開され、キャスト陣が取材に応じた。

　Ｚ世代のリアルを大胆な発想で作劇した群像劇。Ｙｏｕｔｕｂｅ編集者の主人公・作磨が盲目の妹の視力を取り戻すため、ラプラスと呼ばれる悪魔と取引したことから変化が生じていくヒューマンドラマだ。ファッションブランド「ヒステリックグラマー」が衣装を全面協力するなどの新しい試みもある。

　キャストは主演の林カラス（２６）と妹役の平川結月（２１）に加え、ヒロミ（５７）と松本伊代（５７）の長男・小園凌央（２７）、哀川翔（６１）の三男・福地展成（２６）も出演。ダンス経験の豊富な水野絵梨奈（２９）や同作が初舞台となるシンガー・ソングライターのＴＥＥら感性豊かな出演者がそろった。

　今作のキャスティングは「新しい世代の演劇を応援したい」というＲＩＫＡＣＯ自らが奔走。ＴＥＥが「ある日、ＲＩＫＡＣＯさんが（ＳＮＳの）ＤＭで『一緒に芝居やってみない？』と言われて…。ストリートのやり方ですよ」と急なオファーを明かすと、林も「ドラマで共演した展成と、たまたまヒステリックグラマーのイベントで再会して連絡先を交換したら『ＲＩＫＡＣＯさんに会ってみない？』と連絡があって、２日後にはカフェでお茶を飲んでいた」と笑う。渡部もキャストと話し合いを重ね、役どころを決めていったという。

　Ｚ世代の視点から日常のとらえ方や苦悩が描かれる作品。渡部は「しばらく演劇はブランクがありましたが、自分のなかのインプットも充実してきたタイミングだったので」と、作品作りを引き受けた。「Ｚ世代は自己プロデュースもしっかりできる世代。Ｚ世代の自分たちからすると、仕事はニュートラルにとらえているけれど、同時にＺ世代以前の方々が作品を支えてくれることへの思いも感じている」と世代を超えたものづくりに対する重みを感じており、強さも弱みも受け入れながら作劇に励んでいる。

　主人公を演じる林は「なんのために生きているのか人生の意義を見つけて成長していく物語。自分も２０歳ぐらいのときに読んだ平野啓一郎さんの『分人主義』に影響を受けた。自分っていうのは他人によってできあがっていくということがすごく合点がいって。この舞台も他人によって影響をもらっていく分岐点にさせてもらえている」とコメント。ＹｏｕＴｕｂｅの編集マンという時流に即した題材だが、テレビ制作の仕事に携わる幼なじみの姿などから役への肉付けを重ねていった。

　渡部も含め、小園、福地と“２世タレント”がそろったが、本人たちは特段構えることなく実に自然体だ。小園が「父からは男としての仕事の向き合い方や考え方を、母にらは人との接し方を学んだ」と語ると、福地も「僕らの世代は上の世代へのリスペクトも、年下からも吸収しようと思う気持ちもある。いろんな世代の人に手助けしてもらってお芝居をやれている」とフラットに語る。

　ＲＩＫＡＣＯも「彼らがもがきながら戦って個性を獲得しているのは素敵なこと。キャスト全員に感動してもらえる見せ所がある」。今作がＺ世代の自由なエネルギーの生まれる場になることを期待した。