中日・山本拓実投手が“上沢スライダー”習得に燃えている。先輩の谷元圭介投手、大野奨太捕手らと今月上旬から、沖縄・宮古島で2年連続となる自主トレを行っている。先輩2人を慕い、他球団の選手も“谷元・大野組”に合流中。日本ハム・上沢直之投手、石川直也投手、田中瑛斗投手、中島卓也内野手、ヤクルト・高梨裕稔投手と実力派ぞろいだ。
山本は、他のメンバーがブルペン入りすれば、ネット越しに視線をくぎ付けにする。特に圧倒されるのが、日本ハムの大将格・上沢だ。山本は「とにかく球の伸び、強さ、精度、全てが違います。野球への取り組み方、考え方、オンオフの切り替え。勉強になることしかない」と目を輝かせる。最初の休日には一緒にお酒を交わし親交も深めた。
練習中、上沢から声をかけられた。「スライダーどうやって握ってる?」。昨季は満足いく成果がなかったスライダー。球の握り方、リリース、イメージを教えてくれた。以前のスライダーは曲がりが大きく、カウント球やタイミングを外して、ファウルにもっていくことが精いっぱい。昨年から本格的に中継ぎとなりシュート、カーブに続く“必殺技”を求めていた山本は「上沢さんから『カーブのようにスライダーを投げてみたら』とアドバイスをもらった。感覚はすごくいい。これなら、三振も狙える」。欲しかった決め球。おぼろげながら光が見えた。
キャッチボール相手を務める谷元も「本人もいい感覚で投げている。スライダーもいいよ。こうやって他球団の選手と一緒にやることで俺も勉強になるし、山本もきっと勉強になると思う。毎年毎年発見があるよ」と目を細めている。その上で、「もっと遊び心を持って欲しい。色んなところにヒントはたくさんあるから」と親心もみせている。
山本は、17日に5割程度の力で打撃投手など行い、来月1日からのキャンプインに向け調整を続ける。竜の中継ぎ競争は激しい。WBCキューバ代表のR・マルティネス、ロドリゲスを筆頭に、清水、祖父江、谷元、藤嶋、森、砂田ら多士済済。決め球が「完全習得」となれば、さらに心強い武器を持ち、リリーフ争いに挑める。(中日担当・長尾 隆広)