【大島幸久の伝統芸能】国立劇場最後の初芝居「ブラボー、いよっ、音羽屋!」

スポーツ報知
“遠山の金さん”を演じる尾上菊五郎。片肌脱ぐ有名な場面(国立劇場提供)

◆国立劇場「初春歌舞伎公演」(27日千秋楽)

 音羽屋の大旦那、いや歌舞伎の大看板・尾上菊五郎が健在だ。“遠山の金さん”で今年は始動。本人が言う81歳のジジイでも、元気で華がある舞台姿がうれしい。

 「初代国立劇場さよなら公演」、最後の初芝居だ。15年ぶりの通し狂言「遠山桜天保日記」。旗本の若様、遠山金四郎が北町奉行に抜てきされ、御用金強奪と人殺し事件を見事に裁く筋立てだ。

 菊五郎の出番は4回、序幕第1場・河原崎座楽屋の場が最初。騒ぎの仲裁に入り、両肌を脱いで桜吹雪の刺青(いれずみ)を見せる。さらに奉行就任の奉書を知ると、いきなり「ブラボ~!」。場内大笑いになった。

 次は大川橋六地蔵河岸の場。仁侠(にんきょう)に扮(ふん)し「流れも清き大川の」のせりふ、「おう、待たねえか!」の啖呵(たんか)で江戸っ子の世話物の芸を出した。

 いよいよ見せ場が5幕目・白洲の場。「御出座」の声で姿を見せた貫目が立派。「やかましい、悪党め」と片肌脱いだ桜吹雪。「これにて一件落着」では颯爽(さっそう)とした名奉行ぶりだった。

 座頭としての菊五郎がこの劇場で初芝居を始めたのは平成14年からで17回目。たった一人、酒を相手に深夜まで長せりふを覚え演目の工夫を重ねてきた。大詰の勢ぞろいで客席に手拭いを投げ込む満面の笑みに声を掛けたい。「ブラボー、いよっ、音羽屋!」(演劇ジャーナリスト)

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