プロレス界のスーパースター武藤敬司(60)が2月21日に東京ドームで引退する。新日本プロレスに入門した1984年10月5日のデビューから全日本プロレス、WRESTLE―1、プロレスリング・ノアと渡り歩き常にトップを驀進したカリスマ。さらに化身のグレート・ムタでは全米でトップヒールを極めるなど世界で絶大な人気を獲得した。スポーツ報知では38年4か月に及ぶプロレス人生を「完全版さよならムーンサルトプレス伝説」と題し14日から連載します。連載2回目は、いまだに発表となっていない引退試合の対戦相手についてプロレスリング・ノアのフロントトップの武田有弘取締役を直撃。また、報知では、タブロイド新聞「武藤敬司 引退特別号」を発売。22日に横浜アリーナで行われるグレート・ムタのラストマッチでプレミア先行発売(税込600円)します。(取材・構成 福留 崇広)
2月21日の東京ドームでの引退試合まで残り37日。いまだに発表されない対戦相手を巡ってSNS上ではファンが様々な予想を書き込む事態となっている。
名前が挙がっている主なレスラーは「蝶野正洋」「オカダ・カズチカ」「内藤哲也」「棚橋弘至」「ハルク・ホーガン」「ザ・ロック」「スティング」「清宮海斗」「潮崎豪」「拳王」「中邑真輔」。果たして、この中に正解はあるのか?引退興行を取り仕切る武田氏を取材すると「まだ決まっていません」と明言した。
武田氏は、最後の相手はすべて武藤自身が決めることを強調。その上で「恐らく武藤さんの中では、何人かにかなり絞られているはずです」とした上で「Aパターン、Bパターン、Cパターン…あとは流れ次第でしょう」と話した。
ただ、引退試合まで残り37日。会場は巨大な東京ドーム。さらに試合は「ABEMA」がPPV。チケットの券売、PPVの契約などを考えれば、フロントとしては、そろそろ決めて欲しいはずだろう。武田氏も「我々、興行側からするとPPVもやるしチケットも売らないといけないのである程度、猶予は欲しいです」とうなづいた。それでも「ただ、今回に関しては武藤さんが後悔なくベストタイミングで決断して欲しい。後悔はしたくないですから武藤さんがこれがベストだっていうところで着地しないといけません」と繰り返し、発表もどういった形になるのかも明言しなかった。
ここまでの話を総合すると対戦相手の決定権は武藤本人。ただ、武田氏はその中でも選択肢を「Aパターン」、「Bパターン」、「Cパターン」といくつか想定していることを明かした。ならば、それぞれのパターンに備え現時点で候補となる各選手へ交渉は行っているのだろうか。「していないです」と武田氏は即答した。続けてそれぞれのパターンも「武藤さんの頭の中にあるんじゃないですか。僕も聞いていませんから、わからないです」と明かし「ただ、常にルートはありますから、武藤さんが“これだ”って決めた瞬間に交渉します」と話した。
武田氏は対戦相手を「決まっていません」と断言した。加えて連載の初回で書いたが武藤自身が思い描く相手を「シークレットだよ」と口を閉ざしている。なので、これ以上、様々な予想される相手の名前をぶつけて質問を重ねても口を閉ざしたままだ。ただ、試合形式については、シングルマッチなのかタッグなのか6人タッグなのかを問うと「決まってないですけど」とした上で「恐らくシングルマッチをやるんじゃないですか」と明かしてくれた。武藤は一騎打ちで38年4か月もの間、戦ってきたリングを去ることが濃厚になった。
私が武田氏への直撃取材で明確に分かったことは、試合形式はシングルマッチが濃厚。そして、対戦相手は武藤が希望したレスラーになることの2つだった。タッグなら対戦相手はもちろん、パートナーも様々な歴史、さらには未来への継承などいくつものドラマを見せることができる。しかし、シングルとなれば、たった1人に38年4か月のプロレス人生の歴史、さらには未来へのメッセージなどを託さなければならない。期待は膨らむがある意味、リスクもある。ならば武藤は、そのたった1人の敵をどう思い描いているのか。本人への取材、そして引退が決まってから様々な媒体などでの発言から推測する。
(続く)