アイルランド出身の世界的ロックバンド「U2」が、3月17日に4枚組み新アルバム「ソングス・オブ・サレンダー」(CDまたはLP)をリリースすることが11日、分かった。
1980年に初アルバム「ボーイ」を発表し、これまでスタジオアルバム14枚をリリース。全世界のアルバムセールス1億7500万枚以上を誇る。40年以上に及ぶキャリアから「サンデイ・ブラッディ・サンデイ」(83年)を始め、「ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネイム(約束の地)」(87年)、「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」(同)、「ワン」(91年)、「ビューティフル・デイ」(2000年)などの代表曲を新たな音楽的解釈、アレンジを取り入れて新録音。2年間にわたるセッションにより全40曲が収録された。
「ウォーク・オン」(00年)は「ウォーク・オン(ウクライナ)」に曲名を変更。昨年4月にウクライナ支援を求めるキャンペーン「Stand Up For Ukraine」で演奏した歌詞のバージョンで収録された。
CD1からCD4にはメンバーの名前(ジ・エッジ、ラリー、アダム、ボノ)がつけられ、10曲ずつを収録。ベストアルバムと呼べるような豪華盤になっている。
プロデュースと編集を手掛けたギターのジ・エッジ(61)は企画・経緯について「音楽はタイムトラベルを可能にする。現代に楽曲を持ち帰り、21世紀風に創造し直した時にもたらされる恩恵の有無を想像してみた。最初は一種の実験として始まったが、初期の楽曲の多くが生まれ変わり、気づけば夢中になっていた」と説明。「ポストパンク(=過激なパンクスタイルを洗練させたもの)の衝動は親密さに代わり、新たなテンポ、キー、場合によっては新たなコード、歌詞が施された。ほとんどの曲はライブ、コンサートでの演奏を念頭に書いたもの。楽曲に親密さをもたらすことが目的の一つだった」とコメントした。
◆U2 アイルランド出身のボノ(62、ボーカル)、ジ・エッジ(ギター)、アダム・クレイトン(62、ベース)、ラリー・マレン(61、ドラム)の4人組。高校時代に出会い、1978年の結成以来、メンバーは不変。87年のアルバム「ヨシュア・トゥリー」が米グラミー賞の最優秀アルバムを受賞するなど世界的な成功を収めて以来、コンサートの動員や規模から「世界最大のロックバンド」と称された。特に歌詞の大半を手掛けるボノは慈善活動家として、貧困、人権、環境など世界の社会問題にも積極的に取り組み、ノーベル平和賞の候補にも3度選ばれている。グラミー賞は22回獲得。04年ロックの殿堂入り。