策略家で人情家 最新“家康像”が丸わかり!大河「どうする家康」がさらにおもしろくなる

スポーツ報知
自著と大河ドラマでの徳川家康の描き方の違いにも注目しているという濱田浩一郎氏(カメラ・清水 武)

 歴史研究者・濱田浩一郎氏(39)が著書「家康クライシス―天下人の危機回避術―」(ワニブックス、税込み990円)で、今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の主人公、徳川家康の数々の「どうする?」という生涯を描いている。自身も20年来の大河ファンであると公言する濱田氏に「どうする家康」の見どころを聞いた。(太田 和樹)

 今年の大河「どうする家康」が始まった。誰もが知る徳川家康を、脚本家の古沢良太氏が新たな視点で描く作品。一方、「家康クライシス」は「信長公記」などから家康の生涯や史実に迫った歴史本だ。濱田氏は「大河が始まることで一層、家康に対する関心が高まると思われました。近年の家康や戦国時代の研究成果を盛り込みつつ、分かりやすく楽しんで家康の生涯、時代について学べる本を、大河ドラマを見る時の副読本のような感じになればという思いで出版しました」

 本だけでなく、濱田氏ならではの視点で大河を解説する「濱田浩一郎のYouTube歴史塾」も約1年前に開設した。「動画を通して大河を楽しんでもらいたいという思いです。微力ながら続けています」

大河20年以上観賞 これほどまでに濱田氏が大河について熱く語るのには理由があった。歴史に興味を持ったのは小学5年の頃。歴史好きの祖父の影響で歴史小説を読み始めた。そうして歴史に興味を持っていくうちに大河にも興味を持った。「当時は応仁の乱を描いた『花の乱』とか『八代将軍 吉宗』とか。このあたりからずっと見ています」。歴史の研究を続けながら、20年以上大河を見続けている。

 「最も印象に残っているのは96年の『秀吉』です。破天荒でざっくばらんな竹中直人さん演じる秀吉が印象に残っています。渡哲也さん演じる信長も迫力がありました」と振り返った。

 もちろん「どうする家康」も見る予定。最も「どうする?」か気になっているシーンは、明智光秀が謀反を起こし織田信長が自害に追い込まれた「本能寺の変」の後の家康の対応だという。「本能寺で謀反があった。信長が死んだ。今後どうするかというところで、『徳川実紀』を見ると、家康が切腹しようするといっています。家臣がとどめて何とか領地の方に帰っていくのですが、家康は相当心理的に追い詰められた、悩んでいたんだなあと思います」

 家康は切腹せず、江戸に幕府を開き天下統一を果たす。濱田氏はその要因として「運」を挙げた。「例えば武田信玄との三方ケ原の戦いで家康は大敗します。場合によっては戦場で命をなくしてもおかしくなかった。その状況で助かったのは運が良かったという面もあると思うんです」。一方で日頃から武芸にも親しみ、信長公記では合戦の時に馬上から敵兵を弓矢で撃ち倒し窮地を脱出したと描かれている。「備えあれば憂いなし。日頃の鍛錬が家康の生命を救ったとも思います」と分析した。

 「今回の大河は若い頃の家康を弱虫と描くようですけど、私はそう考えず、若いころから度胸や胆力がある武将だったと考えています。裏切った家臣も再度仕えさせている。そういったところで策略家、また人情家である。二面性といえば二面性かもしれないですけどそういったところが私は好き。尊敬できる」という。

 戦国時代が舞台となるだけに、濱田氏は「合戦シーン」をドラマの見どころに挙げた。「例えば大軍の今川勢に信長軍がなぜ勝ったのかが注目の桶狭間の合戦とか、『家康3大危機』の一つでもある三方ケ原の合戦では、俗説だと思うんですけど家康が脱糞したとかの逸話があるので、どう描くのか。関ケ原の戦いは小早川秀秋がなかなか裏切らずに家康が業を煮やして射撃したと言われているんですけど、最近ではそうではなくて、合戦が開戦してすぐに秀秋が裏切ったのではないかという説もある。そういった有名な合戦をどう描くか注目です。映画並みの迫力で描いてほしいですね」

 ◆濱田 浩一郎(はまだ・こういちろう)1983年4月8日、兵庫・相生市出身。39歳。2006年に皇学館大学を卒業。11年に皇学館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。大学院在学中の09年から歴史についての著書を出版。主な著書に「『超口語訳』方丈記」や「超訳『言志四録』西郷隆盛を支えた101の言葉」などがある。

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