市川團十郎襲名記念プログラム「SANEMORI」は宮舘涼太の息づかいに注目

スポーツ報知
激しい立ち回りを披露する宮舘涼太

 歌舞伎俳優の市川團十郎とSnow Manの宮舘涼太が共演する初春歌舞伎公演「SANEMORI」(27日千秋楽)が6日、東京・新橋演舞場で初日を迎えた。前日5日の公開稽古を取材したが、想像していた以上に宮舘の立ち回りが力強く、圧倒された。

 「滝沢歌舞伎」での経験も生かされている。冒頭から激しい立ち回りが続き、視線をくぎ付けにして観客を飽きさせない。片岡仁左衛門が得意とする大技「戸板倒し」も堂々と披露。歌舞伎の魅力がギュッと凝縮されていると感じた。宮舘のセリフ回しは歌舞伎の口調ではなく、現代語に近い。さらに舞台にマイクが設置されていることもあり、歌舞伎初心者にも聞き取りやすい。

 立ち回りで特に気になったのは、宮舘の息づかいだ。舞台だけでなく、花道や客席の通路までも息を切らしながら走り回り、必死の形相で大勢の敵と刀を交える。一般的な歌舞伎では、日本舞踊の素養を持った歌舞伎役者たちが様式美を重視した立ち回りをするため、激しさよりも優雅さが際立つ。そのため、宮舘演じる源義仲、木曽先生義賢が命掛けの戦(いくさ)に挑む必死さが、とても新鮮だった。

 團十郎が「古典が若者にも伝わるように」「日本文化に触れていただきたい」という思いを込めた構成だ。「源平布引滝」から序幕は宮舘が「義賢最期」をダイナミックに演じる。一転して2幕目は主に團十郎がより古典に忠実な「実盛物語」を披露する。大詰は時空を超えたファンタジーの要素があり、歴史のロマンを感じる。注文をつけるとすれば、團十郎と宮舘の共演シーンをもっと見たかった。

 昨年10月の記者会見を思い返した。團十郎(当時は海老蔵)が「だて様(宮舘)には2役をやっていただこうと思います」とサプライズ発表。予想外の大役に宮舘は「気持ちの整理がつきません」と目を丸くした。それから3か月、しっかりと稽古を重ねたのだろう。團十郎が「これからは次の世代、未来に対して考える公演形態にしていきたい」と語った言葉の意味も少し分かった気がする。歌舞伎の未来を担う救世主は、歌舞伎界の外にいるのかもしれない。(記者コラム・有野 博幸)

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