元箱根ランナーの漫画家・高橋しんさん、昨年描いた「未来予想図」中大・吉居大和VS駒大・田沢廉が2区で現実に

スポーツ報知
高橋しんさんのイラスト

 昨年の寄稿イラストが現実に―。1987年の箱根駅伝で山梨学院大のアンカー10区を走った漫画家・高橋しんさん(55)が3日、今大会を通して最も心を動かされたシーンを描いたイラストをスポーツ報知に寄せた。昨年は、往路1区区間新の中大・吉居大和と、2区区間賞の駒大・田沢廉を並べて描いた高橋さん。今年は、吉居大と田沢が同じ2区を走り、青学大・近藤幸太郎と共に首位を争った。昨年の「未来予想図」は、箱根史に残るデッドヒートになった。(構成・瀬戸 花音)

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 2区で中大の吉居くんと駒大の田沢くん、そして青学大の近藤くんがデッドヒートを繰り広げた場面です。幸運にも、去年描いた吉居くんと田沢くんの並走のシーンが、こんなすごい形で見られるとは想像していなかったので、「おお…!」と思いました。

 2区の最後1キロの上りを、学生ランナーの頂点の3人が圧倒的な力で体を削るように上り切り、走り切り、タスキを3区のランナーにつなげるという姿を見て、険しい箱根山より、「箱根駅伝」そのものが一つの大きな山なのではないかという気持ちが湧いてきた。それをテーマに描こうと思いました。そして、上り切った向こうに光り輝く場所がある。そこに吸い込まれていくようなイメージです。

 今年の2区は例年とは違って、1区であまり差がつかず、ほとんど秒差の感じでスタートしました。オリンピアンの順大・三浦龍司くんや、留学生たちも含め、トップレベルの選手たちがほぼ一斉に2区をスタートしたことを考えると、最後の1キロで起こったあの3人のつばぜり合いが、一種の頂点の勝負と考えていいのかなと思います。

 4区で同じように駒大・鈴木芽吹くんと青学大の太田蒼生くんがデッドヒートをして、順位はついたけれど、優劣はつかない感じでゴールした。さらには、総合で駒大が優勝して、中大も2位につけて、青学大がすごい強さを見せて3位にしっかり入ってきた。2区で乗り越えた走りがその全てにつながったのでしょう。

 3人のエースが力強く山を乗り越える姿が、他のメンバーや、スタッフさんに少なからず力を与え、タスキに込められ、つながっていった。もっといえば、これを見ている将来の子供たちにも力を与える、そういう力がこのシーンにはあったと思います。

 ◆22年の箱根駅伝 1区で吉居大が区間新、2区で田沢も区間賞を獲得。高橋さんは2人がラスト近くで見せた苦しい表情を見て、栄光も歓喜もすべて苦しみから生まれる、と2人が並んで競り合ってるシーンを描いた。「2人は来年も走ることになるでしょうから、今から楽しみです」と語っていた。

 ◆2区(23.1キロ)VTR 4位からスタートした中大の吉居大和(3年)が3キロ過ぎに学生長距離界のエース・駒大の田沢廉(4年)を抜き、首位に浮上。12.2キロで田沢に抜き返されたが、戸塚中継所手前約100メートルで再びトップに立ち、首位でタスキリレー。区間賞も獲得した。青学大の近藤幸太郎(4年)も吉居大に2秒差で区間2位と快走。田沢は近藤に10秒差の区間3位で走り抜いた。

 ◆高橋 しん(たかはし・しん) 1967年9月8日、北海道士別市生まれ。55歳。士別高から山梨学院大に進学。1年時に箱根駅伝10区を走り、区間11位に。全日本大学駅伝にも出場。代表作に「いいひと。」「最終兵器彼女」など。2016~18年、初めて駅伝をテーマにした「かなたかける」を発表。現在は「MELODY」で「髪を切りに来ました。」を連載中。「ビッグコミックスピリッツ」で連載中の「駅伝男子プロジェクト」単行本1巻が昨年12月28日に発売された。

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