◆第99回東京箱根間往復大学駅伝競走復路 (3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)
復路も強力なルーキーが輝いた。駒大は6区の伊藤蒼唯(あおい、1年)が58分22秒で、今大会のチームで唯一となる区間賞を獲得。後続との差を広げ、2年ぶり8度目の総合優勝と学生駅伝3冠獲得に貢献した。
天下の険でまたもや駒大の強力ルーキーが輝きを放った。6区の山下りで、当日変更で投入された駒大・伊藤は58分22秒で、2位の中大との差を17秒広げてタスキリレーした。30秒差の首位でスタートすると、スピードに乗った力強い走りで2位の中大、3位の青学大との差を広げた。「緊張とワクワクが半分、半分でスタートした。ラストも絞り出して区間賞を取れたのでよかった」と、目を輝かせた。
前日の5区では、同じ1年生の山川拓馬が区間4位の好走で19年ぶりの往路Vのゴールテープを切った。「自分も」と、その雄姿を刺激に快走を誓った。3種目の高校記録を引っさげて入学した佐藤圭汰(1年)は出雲、全日本で区間新記録をマーク。2冠獲得に貢献していたが今大会は直前の胃腸炎で欠場。その穴を埋める活躍で、復路&完全優勝へとチームを勢いづけた。「圭汰は、高校までは同年代で手の届かない存在でした。今回は自分も区間賞を取れたので、ちょっと追いつけたんじゃないかと思います」と胸を張った。
親子2代の夢もかなえた。父・桂太さんは山梨学院大陸上部だったが、学生3大駅伝とは無縁だった。母と2人の弟も陸上長距離に取り組んでいる陸上一家。「小さい頃は家族でよく箱根駅伝をテレビで見ていました。親の思いも受け継いで走った」と、新春の箱根路を駆け下った。
運営管理車の大八木監督から、代名詞の「男だろ!」のゲキを受けた。「自分が言われる立場になると気合が入る。今回言われたことは誇りです」と、終盤3キロは懸命に腕を振った。そして最後は「良い走りだ。よくやった」と、お褒めの言葉も授かった。「また来年3冠できるように頑張っていきたい。(新監督の)藤田さんは現役時代も実績があって、学ぶものはたくさんある」。藤色の新星はエース格へと駆け上がる。(榎本 友一)