◆第99回東京箱根間往復大学駅伝競走復路 (3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)
往路11位の東洋大が復路6位と巻き返し、総合10位で18年連続のシード権を獲得。来年の第100回大会の出場権を死守した。
10区の清野はシード圏内の10位でゴールした直後、悔しさと安どの涙を流した。2日の往路は10位まで1分27秒差の11位。2006年から続くシード権が途切れる危機を迎えたが、何とか18年連続でシードを死守した。振り返れば2区19位と苦しんだ石田がレース後半で一時、最下位を走っていた状況からの巻き返し。酒井俊幸監督(46)は「二度と味わいたくない最後尾の方の景色を見た。チグハグな駅伝が続いた。(シードは)最低限」と厳しい表情で総括した。
昨年12月からチーム内に新型コロナ、インフルエンザの感染や、疲労骨折などアクシデントが続いた。「せめて3位争いくらいには行きたかった」と本音を吐露した指揮官も「今まで指揮した中で一番苦労したシーズン」と頭を抱えた。2年連続で2区のエース・松山和希(3年)が故障でメンバー外に。2区を任せた石田も区間19位と不発だった。
逆境の中でも優勝4度の名門は巻き返した。前日は5区で前田主将が区間5位の力走を見せた。主将が憧れる「2代目・山の神」こと柏原竜二さんからも監督の妻・瑞穂さんに「前田の走りには感動した」という旨のLINEが届いたという。
この日は在学中に疲労骨折を8回も経験した苦労人、8区の木本が1時間4分16秒で区間賞を獲得。「自分がチームを救うんだという気持ちだった」と力を込めた。11位でタスキを受けた9区の梅崎が2つ順位を上げ、今大会で初めてシード圏内に滑り込んだ。
100回大会の来年に向けて、酒井監督は「やはり(カギは)往路。序盤は速い展開がスタンダード。松山を中心に、競い合える選手層を構築したい。危機感を持ってやっていきたい」と、このままでは終われないと言わんばかりの勝負師の顔をのぞかせた。(岩原 正幸)