◇第99回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)
箱根の山で、藤色の新星が復路でも輝きを見せた。6区の山下りで、当日変更で投入された駒大・伊藤蒼唯(あおい、1年)が58分22秒で、2位の中大との差を17秒広げてタスキリレーした。30秒差の首位でスタートすると、スピードに乗った走りで2位の中大、3位の青学大との差を広げていった。
昨年11月、ギリギリで箱根駅伝16人のメンバーに滑り込んだ。メンバー選考のラストチャンスだった1万メートル記録会で、実業団の強豪選手らと競り合って28分28秒15の自己ベストをマーク。箱根駅伝メンバー入りを果たした。
同じ駒大1年生の佐藤圭汰は10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝でともに区間新記録の快走でチームの2冠の原動力となった。また、山川拓馬(1年)も全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得し、2日の箱根駅伝5区は区間4位の好走で19年ぶりの往路優勝のゴールテープを切った。「圭汰は元々、同年代のトップでしたが、山川は一緒に出雲市陸協記録会を走って全日本で区間賞。僕は寮で応援して、かなり悔しい思いをしました」と先を行く同期の活躍を発奮材料に変えてきた。
昨夏の長野県内での合宿では、月間走行距離1000キロを超える距離を黙々と走り込んだ。指揮官も「チームで2番目によく練習ができていましたね」とたたえる。父・桂太さんは山梨学院大のランナーだったが、学生3大駅伝とは無縁だった。母と2人の弟も陸上長距離に取り組んでいる陸上一家だ。「小さい頃は家族でよく箱根駅伝をテレビで見ていました。親の思いも受け継いで箱根駅伝を走れたら」と親子2代の夢を見事な走りで体現して見せた。
運営管理車に乗った駒大・大八木弘明監督からも「良い走りだ。よくやった」などとお褒めの言葉を受けた。