【2022年カタール大会】アルゼンチンが36年ぶりの3度目の優勝…メッシが5度目の挑戦で世界一の栄誉

スポーツ報知
2022年12月20日付け紙面

◆カタールW杯 決勝 ○アルゼンチン 3(2―0、0―2、延長0-0、1-1、PK4-2)3 フランス ●(2022年12月18日・ドーハ)=観衆8万8966人=

 【ルサイル(カタール)18日=ペン・岡島智哉、カメラ・宮崎亮太】アルゼンチンが、2連覇を狙ったフランスとのW杯史上最大の激戦を制し36年ぶり3度目の優勝を果たした。延長を終えて3―3からのPK戦を4―2で決着。2得点を挙げ、5度目の挑戦で自身初のW杯トロフィーに口づけをしたFWリオネル・メッシ(35)が、史上初めて2度目の大会最優秀選手に選ばれた。最後と公言したW杯で有終の美を飾ったスーパースターが“神になった瞬間”を「見た」。

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 英雄か、悲劇のヒーローか。メッシが運命を決める分岐点のPK戦に立った。先攻1番手のフランスの“怪物”エムバペはすでに成功。次世代のスターとすれ違い、後攻1番手のメッシがボールに歩み寄る。高まる緊張感。迷わず左足を振った。ボールはGKの逆をつき、ネットを揺らした。両手を広げ会場をあおった。固唾(かたず)をのんでいた大観衆8万8966人の会場が熱狂の渦と化した。

 先制点を挙げても、2―2の延長後半3分に勝ち越し点を奪っても、エムバペが得点し追いついてきた。PK戦では先に決められた。これほどまでに世代交代を印象づけられる場面はない。漫画なら、外す。しかし、決めた。フランスは2人が失敗し、アルゼンチンはメッシに続く3人全員が成功。悲願の世界一に輝いた。次々に抱きつくチームメートに包まれ喜びに浸った。ゴールドのトロフィーを前に顔がほころんだ。「これが欲しかった。僕のものだ」。授与の式典を待ちきれず何度もキスをし、いとおしそうになで回し頭上に掲げた。

 35歳。選手としてのピークは過ぎた。それでも今大会は、まぎれもなくメッシの大会だった。1次リーグと決勝トーナメントの各試合で得点した初の選手になった。2度の大会最優秀選手も過去にはいない。

 バロンドール受賞7度は歴代最多。生涯獲得タイトルは40を超える。だが史上最高のサッカー選手と評されるには、足りないものがあった。20年に他界した憧れのマラドーナさん(享年60)のように母国を世界一に導くことだ。少ない運動量は「お散歩」と皮肉られ「バルセロナでしか活躍できない」と嘆かれた。物静かな性格は「無気力」と捉えられ「マラドーナに遠く及ばない」と批判された。意欲を奪われ、16年には代表引退も表明した。

 そこから奮い立ち、自分の背中に憧れた若者たちと、世界一を目指した。最後のW杯は5度目の挑戦。ついに栄誉を手にした。「世界王者としてあと数試合はプレーしたい。これで自分のキャリアを終えたかったし、これ以上、何も望むことはないけど」。有終の美を飾り、代表活動継続にも意欲を示した。

 常にスタジアムの9割以上を埋めてきた熱狂的アルゼンチンサポーターが、今大会から新応援歌として採用し、歌い続けた曲がある。

 「俺たちはディエゴ(マラドーナ)とリオネル(メッシ)の国生まれ。(14年)ブラジルW杯決勝、俺たちは負けた。何年泣いたことか。でもそれもおしまい。俺たちには希望がある。3度目の世界一へ。ディエゴよ、空から見守って。リオネルに力を与えてくれ。俺たちは再び世界一になる」

 18年大会ではメッシのゴールに歓喜し、試合中に貧血で倒れてしまったマラドーナさん。大会期間中の11月25日は命日だった。後継者の躍動に、天国で大熱狂したに違いない。メッシは「最高の気分。みんなに届けたかった勝利だ」と喜びに浸った。アルゼンチン、3度目の世界一。その中心にいたのは、史上最高のサッカー選手だ。(岡島 智哉)

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