あの日テレビの前で胸を躍らせた名勝負、レジェンドが振り返るあの一戦から、世界最大のプロレス団体WWEで活躍中の日本人スーパースターの最新情報まで、プロレス&格闘技の様々な情報をお届けする「ファイト報知」。担当記者の熱がこもった原稿をお楽しみください。
東京ドームに進出した「U‐COSMOS」(1989年11月29日)でUWFは、エース・前田日明がメインで柔道王ウィリー・ウィルヘルム(オランダ)に膝十字固めで勝利するなど、世界の強豪を相手に3勝2敗1分けと勝ち越した。年が明けた3年目のオープニングは、2年連続で日本武道館大会を敢行した。
メインイベントは前年と同じく前田VS高田延彦のエースの座攻防戦。旧UWF(第1次)では高田はどうしても先輩の前田に勝てなかったが、新生UWF(第2次)では88年6月11日の札幌大会で前田の片羽絞めで敗れたものの、11月10日の露橋大会では高田がヒールホールドで撃破し前田から初勝利を奪った。だが89年1月10日の武道館大会は逆エビ固め、6月14日の愛知大会では腕固めで前田が連勝返ししている。
そして迎えた武道館決戦「U.W.F. with ’90」。30歳を超えた前田に対して27歳の高田は充実したヘビー級に成長していた。スタンドとグラウンドを繰り返すUWFの攻防。高田が掌底打ちで前田をダウンさせる。前田の左ミドルキックをつかんで、裏アキレス腱固めでギブアップを奪った。前田から2勝目だ。新生UWFで前田が喫した黒星は高田からの2敗だけ。結果的にこれが高田が前田から奪った最後の勝利となったが、エース交代劇にはならなかった。
続く2月9日の「U.W.F. with ’90 Vol.2」(大阪府立体育会館)のメインイベントは前田VS藤原喜明。高田は山崎一夫とセミファイナルだった。この連載では、公式にはカウントされなかった旗揚げ戦からの勝敗を付記してきたが、90年の武道館大会までの成績は、前田が17勝2敗、高田が12勝5敗。勝ち星、勝率ともに前田がトップだ。
勝ち星では山崎が12勝7敗で高田と同数2位。10試合以上こなした選手の勝率では、藤原が8勝2敗で前田を追う高田の間に割って入り2位だ。さらに高田を脅かす存在が現れる。負傷欠場していた船木誠勝が台頭する1990年代となるのだった。=敬称略、つづく=
◆「U.W.F. with ’90 Vol.1」(1990年1月16日・日本武道館)
▽30分1本勝負
〇宮戸成夫=8勝7敗2分け=(6分39秒、逆片エビ固め)ケブン・カステール=1敗=●
〇鈴木みのる=3勝6敗2分け=(12分43秒、逆片エビ固め)ウェリントン・ウィルキンスJr.=1敗=●
▽45分1本勝負
〇山崎一夫=12勝7敗=(11分57秒、裸絞め)安生洋二=6勝9敗3分け=●
〇藤原喜明=8勝2敗=(13分44秒、アキレス腱固め)中野龍雄=6勝9敗=●
▽60分1本勝負
〇高田延彦=12勝5敗=(23分4秒、裏アキレス腱固め)前田日明=17勝2敗=●
◆「U.W.F. with ’90 Vol.2」(1990年2月9日・大阪府立体育会館)
▽30分1本勝負
〇中野龍雄=7勝9敗=(10分20秒、顔面絞め)ジョニー・バレット=4敗=●
〇宮戸成夫=9勝7敗2分け=(9分58秒、足首固め)鈴木みのる=3勝7敗2分け=●
▽45分1本勝負
〇安生洋二=7勝9敗3分け=(6分49秒、足首固め)ウェリントン・ウィルキンスJr.=2敗=
〇高田延彦=13勝5敗=(12分42秒、逆エビ固め)山崎一夫=12勝8敗=●
▽60分1本勝負
〇前田日明=18勝2敗=(14分14秒、裸絞め)藤原喜明=8勝3敗=●