【去る人巨人編】桜井俊貴氏、新戦力発掘で原辰徳監督に恩返しへ…スカウト就任「力になれたら」

19年5月、プロ初勝利を挙げた桜井(右)を祝福する原監督
19年5月、プロ初勝利を挙げた桜井(右)を祝福する原監督

 ユニホームを脱ぎ、第二の人生へ歩み出す男を2回にわたって紹介する。1回目はセ・リーグ編。2015年の巨人ドラフト1位で今季限りで現役を引退した桜井俊貴氏(29)は、今季から球団の関西地区担当スカウトに就任する。現役時代は原監督から大きな期待を寄せられたが、思うような結果を残せなかった。次の舞台では新戦力発掘に尽力する。

 桜井が次の挑戦に向かう。昨年11月に12球団合同トライアウトを受けたが、NPBからのオファーはなく「やりきったというのが一番の気持ち」と引退を決断。今年から球団の関西地区担当スカウトに就任する。「いい選手を見極めて強い戦力となれるように、スカウトとして巨人の力になれたらと思います」と、違う形でチームに貢献すると誓った。

 19年には自己最多8勝を挙げ優勝に貢献したが、20年以降は3年間で5勝と苦しんだ。忘れられない試合がある。20年10月5日の阪神戦(甲子園)で、援護点をもらった直後に失点。四球を出して大山に勝ち越し2ランを浴びた。試合後、原監督は「あの点の取られ方は、子供ちゃんが野球をやっているようなもの」と厳しい言葉を残した。

 その夜、宿舎の食事会場。原監督に呼ばれ、1本の高級ワインを手渡された。その試合で打たれた他の選手と飲み干すと、指揮官からは「ちょっとは大人になったか」と声をかけられた。原監督なりの励まし。試合後の言葉を知っていただけに心が少し軽くなった。その後も何度もチャンスをもらった。監督室に何度も呼ばれ、たくさん話をした。「腕の振りはチームトップレベルだから」「もっと自信を持って」。その期待に応えたい一心だった。

 引退報告の際には「第二の人生の方が長いから頑張りなさい」と激励された。人生のテーマは「挑戦」。新しい舞台でチームの戦力となり、球団に、原監督に恩返しする。(玉寄 穂波)

 ◆桜井 俊貴(さくらい・としき)1993年10月21日、神戸市生まれ。29歳。多聞東小4年で野球を始め、多聞東中まで軟式。北須磨では甲子園出場なし。立命大から15年ドラフト1位で巨人入団。通算110登板で13勝12敗、防御率5・18。182センチ、89キロ。右投右打。

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