宇野昌磨3年ぶり日本一 ミスも「得点伸びる」信じたジャンプ 初世界フィギュア連覇で新時代切り開く

スポーツ報知
男子フリーで演技する宇野昌磨(カメラ・矢口 亨)

◆フィギュアスケート ▽全日本選手権 最終日(25日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)

 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位の宇野昌磨(25)=トヨタ自動車=が191・28点、合計291・73点で3年ぶり5度目の優勝を飾った。規定をみたし、来年3月の世界選手権代表に決まった。SP2位の島田高志郎(21)=木下グループ=が164・87点、252・56点で2位。SP4位の友野一希(24)=上野芝ク=が165・41点、250・84点で3位だった。

 さすが世界王者だった。前半に2本の4回転をミス。すると宇野は集中力をぐんと高め、「頑張ろう」ともう一段階、スイッチを入れた。基礎点が1・1倍になる後半に4回転トウループからの連続ジャンプを2本、最後にはトリプルアクセル(3回転半)からダブルアクセルを2本つける、試合で初めて見せたコンビネーションを決め、後半3本で49・41点稼いだ。2位以下に約40点の差をつける圧巻V。「内容は良くないかもしれないが、自分としてはいい演技だった。レベルアップにつながる」と納得できた。

 全日本の全種目を締めくくる最終滑走。優勝へと向かうラストは、まさかだった。最後のスピンは曲が鳴りやんでも終わらず、無音のリンクで一人、くるくる回り、制限時間(4分±10秒)オーバーで減点1。思わぬフィニッシュに、リンクで座り自分でも笑った。最後のジャンプを新たな3連続にしたことで、曲の中で終わらないことは分かっていたが、「その方が得点が伸びると思った」と、宇野らしく武器のジャンプにこだわった。

 五輪、世界選手権が終わると、休養する選手も多い中、休むことなく走り続けてきた。冷めることのないスケートへの情熱は、強みとして誇りを持っている。今大会では4回転4種5本の高難度構成を完璧に通しきることはできなかったが、練習ではミスなく完遂できており、手応えを感じている。「一歩、難易度を上げたプログラムも考えていきたい」と、次のステップへと進む考えを示した。2連覇していた羽生結弦さんがプロに転向。新時代を迎えた男子フィギュア界で宇野が一歩先をゆく。

 次は来年3月の世界選手権(さいたま)で日本勢初の連覇が懸かる。「これから数か月の間にレベルアップしていけば、十分優勝を狙える位置にいる」と見据えるが、最も重要なのは内容。「自分が何をやり残しているのか、何を表現したいのか、何を成し遂げたいのかを追求したい」。前回さいたまで行われた19年大会は4位。次は自国で、世界一となる。(小林 玲花)

 ◆昌磨に聞く

 ―いまの気持ちは?

 「素直に優勝、そして自分の演技内容をうれしく思います。前半失敗した分、頑張ろうという意識が後半にも出ていたと思います」

 ―演技を振り返って。

 「前半、練習でしたようなミスは出ていましたけれど、焦ることなく練習してきたものと自分がやってきたものをすりあわせた。これもまたすごい自分の今後の経験につながるのかなと思います」

 ―今季は自分自身が試合を引っ張っていけるような存在にと覚悟があった。

 「競技をやっていくからには点数になるものを追求し続けて、そして試合という場でどういうパフォーマンスを、どうやって試合に向き合うかっていうのを見せ続けることが、きっと後輩にもつながるんじゃないかなと思います。いつか僕に憧れたり、ここを目標としてくれる選手が増えるようにもっと頑張りたい」

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