カタールW杯は、日本代表がドイツ、スペインを破るなど列島を熱狂させた。現地で取材したスポーツ報知のカメラマン2人が、自身のベストショットを「撮った」と振り返る。
試合の明暗を象徴する写真となった。日本がドイツに2―1で逆転勝ちした11月23日のW杯1次リーグ初戦で、私が担当した位置は日本のゴール側だった。600ミリの超望遠レンズで日本のベンチ、ボールの競り合いを狙い、ズームレンズに持ち替えて相手の猛攻と、それをはね返す森保ジャパンを撮り続けた。
歴史的勝利を告げる笛が鳴り響くとスタジアムが揺れた。どよめきと歓声の中、シャッターを切った。日本のベンチからは、喜びを爆発させた選手たちがピッチにいる仲間のもとへ駆け出した。久保は、はだしだった。ゴールポスト前にできた歓喜の輪の中心にはW杯デビュー戦で途中出場から値千金の同点弾を決めた笑顔の堂安がいた。手前にはぼう然とするドイツ代表DFリュディガーが写る。天国と地獄を示す一枚だった。
一人のサッカーファンとして、カメラマンとして幸せと興奮を思い出せる場面になった。日本の将来を背負う堂安が中心にいるのがいい。8強以上という“新しい景色”に導くレフティーの、栄光への道のりを示す一枚になればうれしく思う。(小林 泰斗)