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日本はもう1次リーグ突破が「惜しかった」ですまされる国ではなくなった…担当記者がW杯振り返る

スポーツ報知
森保一監督(左)と横内昭展コーチ

 「新しい景色」=8強を掲げた森保ジャパンの挑戦は、16強で終戦した。FIFA発表の大会最終順位は9位。1次リーグでの2勝、PK戦での負けが引き分け扱いになることが加味され、16強敗退国で最上位だった。悲願まであと一歩だった。

 しかし、準々決勝~決勝の8試合を現地取材して感じた。8位と9位には、雲泥の差がある。日本が目指す「新しい景色」で繰り広げられるサッカーは、レベルが1つも2つも上がる。現在の日本に、そこに立つ実力はなかったと思う。

 決勝トーナメント(T)において、毎回激闘を制する力があるクロアチアと、毎回激闘の末に涙する日本。両国の差は、小さいようで大きい。クロアチアを模倣することは危険だ。弱者のサッカーに見せかけた強者のサッカーを展開している。言い換えれば、展開できるだけの選手層と戦術、メンタル、経験がある。

 モロッコの躍進も決してまぐれではない。選手26人の合計市場価値は8強進出国で最も低い約347億円だったが、今回の日本は約222億円である。モロッコのレベルにまで選手層が達して初めて、8強に名乗りを上げるに値する。

 フランスとアルゼンチンが決勝で見せた意地と意地のシーソーゲームは「そうきたか。じゃあこうする」といった、高レベルな戦術のぶつかり合いでもあった。

 ドイツ、スペインを破っての1次リーグ突破に、史上初の2大会連続決勝T進出。大会後に発表されたFIFAランクも20位まで上がった。日本は「中堅国」の仲間入りを果たしたと言えるだろう。メキシコやスイスなどといった国々と同カテゴリーか。強国にも、勝てる時は勝てる。

 もう1次リーグ突破が「惜しかった」「残念でした」ですまされる国ではなくなった。W杯出場が歓喜と表現された時代から、25年ほどでこの地位までたどり着いた。長い目でみれば、おおむね順調か。次のW杯は3年半後。ここから1つ上のレベルを目指すべく、歩みを止めてはならない。(岡島 智哉)

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