三笘薫、全国の子供たちに伝えた ミスを恐れずに仕掛ける大切さ…担当記者が振り返る

試合後に涙を流せるほど全力で戦った三笘
試合後に涙を流せるほど全力で戦った三笘

 涙を流す姿を見た時、ちょっとだけホッとした。PK戦で敗れたクロアチア戦後のミックスゾーン。日本代表MF三笘薫は目に涙をためながら「チームを勝たせる存在になりたい。W杯で活躍できる選手がいい選手だと思うし、4年間、もう一度頑張りたいと思います」と決意を口にした。

 カタールW杯の2か月前、ブライトンで話を聞く機会があった。その時に「後悔しないようにしたい」という言葉を繰り返した。昨夏の東京五輪では大会直前に右太もも裏を負傷。大一番の準決勝・スペイン戦ではベンチ外となり、スタンドから見ていた。「僕が出ていてもどういう状況になったか分からないですし、みんなが頑張っている姿を見て妥当だったと思います」。自身の状態を考えてチームの力になれないと判断したからこその発言だが、誤解を恐れずに言えば、どこか人ごとのようにも映った。3位決定戦でメキシコに敗れた後は、涙を流すことすらできなかった。だからこそ、今回涙を流すほどまで全力で戦えたことに安心した。

 8強入りは達成できなかったが、もうひとつの“目標”は達成した。それは日本の子供たちに、ミスを恐れずに仕掛ける大切さを伝えること。「日本は育成年代からミスを恐れる文化が植え付けられている。僕だってもちろんミスしたら怖くなります。でも仕掛けないと何も始まらない。僕はどんどん仕掛けるネイマールのような海外の選手に憧れてきたし、いつかそういう選手になりたいと思ってきました」。全世界が注目するW杯という舞台で、ドイツやスペイン相手に仕掛ける姿勢は心を打った。私の6歳の娘が通う保育園でも「三笘選手みたいになりたい」という男の子がいた。全国のサッカー少年に三笘の思いは伝わったはずだ。

 すでに4年後に向けて、イングランドで戦いがスタートした。「次の大会で絶対に借りを返さないといけないと思っています」。4年後、北中米の地でうれし涙を流す三笘の姿が見たい。(井上 信太郎)

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