【瞬間の記憶】貧弱照明、低性能デジカメが幸い!?中田英寿の“躍動感”ボレー

スポーツ報知
ゴール前でジャンピングボレーシュートを打とうとした中田英寿

◆1999年10月13日、イタリアカップ2回戦(今西淳カメラマン)

 セリエA挑戦2シーズン目のペルージャ・中田を追って、イタリアに滞在していた。シーズン序盤のこの日は、ミッドウィークにナイターで行われたアウェーのカップ戦。現地通信員から、「隣町のライバルチームはサポーターも敵意むき出しで向かって来るので、日本の報道陣もまとまって移動しましょう」と注意を受け、軽くビビった。

 スタジアムに着いてみると、なるほど「中田消え失せろ」と日本語で書かれた過激な横断幕や、日本国内ではお目にかかれないド派手な発炎筒の出迎えを受けた。欧州サッカー好きにはたまらない環境だが、そんなことより仕事上、大いに困ったのは、小さなスタジアムの貧弱な照明設備だった。

 当時のデジタルカメラは今のものとは比べものにならないくらい性能が低く、暗い場所での撮影は苦手で、連写のスピードも「カッチャン、カッチャン」と極端に遅かった。サッカーの取材では、ブレを止めるために高速シャッターを使うが、この日は暗さに合わせて125分の1秒以下のスローシャッターが精いっぱい。連写にも頼れないため、慎重にシャッターのタイミングを待った。

 中盤に君臨する中田がクロスに合わせて前線に顔を出す。ここで泥くさいストライカーなら頭で合わせるところだが、華麗なプレーがウリの中田はジャンピングボレーを選択しフワリ。今だ!と人さし指に力を込めた。

 「カッチャン…」。クロスは相手DFが直前でクリア、惜しくもゴールとはならなかった。

 しかし、中田はこの後、先制ゴールを決めて1面で大展開。スタジアムが暗かったおかげで、こんなにブレが生きた躍動感のある写真で紙面を飾ることができた。何が幸いするかわからない。

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