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サッカー史上最高の試合?現地で見た底力のぶつかり合い サッカー史に残る伝説の激闘

スポーツ報知
3度目のW杯優勝を果たし、歓喜するメッシ(中)らアルゼンチンの選手たち(カメラ・宮崎 亮太)

◆カタールW杯▽決勝 アルゼンチン3―3(PK4―2)フランス(18日・ルサイル競技場)

 【ルサイル18日=岡島智哉】アルゼンチンがフランスを3―3で迎えたPK戦で下し、36年ぶりとなる優勝を果たした。

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 残りの人生が不安になる。これ以上の試合に、今後出会うことはあるのだろうか。

 サッカー史に残る伝説の激闘となった。決勝戦にふさわしい、「底力」のぶつかり合い。後世に語り継がれる試合になったことは間違いない。「最高」の基準は人それぞれだが、「サッカー史上最高の試合」に挙げる人も多いのではないだろうか。世界で10億人以上が視聴すると言われるW杯の決勝で、こんな試合が起こりうるのか。

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 まずはメッシと、その仲間たち。今大会のアルゼンチンは、メッシが勝たせるチームではあったが、メッシを勝たせるチームでもあった。巷では「メッシ親衛隊」などと言われているらしいが、周囲の選手がメッシに足りないものを補い、メッシの長所を相手にとって怖いものに仕立て上げた。

 開幕前から、アルゼンチンサポーターはこの街の主役だった。人数と気合が違った。メッシが最後のW杯と公言したことが大きかったのだろう。街のどこかしこにアルゼンチンのユニホームを着た人がいて、その9割以上が「10メッシ」。そんな期待を一身に背負いながらも、7試合にフル出場し7ゴール3アシスト。見事に優勝に導いた。

 そしてエムバペ。圧巻のハットトリック。戦前は「メッシに引導を渡せるか」なんて世界各国のメディアが書き立てたと思うが、引導は渡せずとも、次の主役の座はエムバペのものとなるだろう。メッシもCロナウドも、恐らくモドリッチも、もしかしたらネイマールもいない次のW杯。大いに沸かせてほしい。

 さらに、両監督。アルゼンチンのスカローニ監督は、負傷もあって決勝トーナメントで先発のなかったディマリアを、左で先発させた。ともに170センチのメッシとアルバレスの2トップで、本職が右の左利きを左サイドに起用。なかなか常軌を逸しているが、結果的に1ゴール1PK獲得だ。この上なく最高で、この上なく戦術上の扱いが難しいであろうメッシ主体のチームを見事に作りあげた点も素晴らしい。

 そしてフランスのデシャン監督。0―2の前半41分にFW2枚替え。カンフル剤の使い方がえげつない。すぐに花開くことはなかったが、0―2のまま推移したことが、後半のエムバペの2発につながった。シーソーゲームとして試合が展開していく中で、両ベンチの微調整も光った。「(相手が)そうくるならこうする」といった両ベンチによる攻防が120分続いた印象だ。

 他にも好試合を演じた役者はたくさんいた。ビッグセーブ連発のアルゼンチンGKのE・マルティネス。期待に応えて得点に絡んだフランスの途中投入選手たち。個人的には、PKキッカーとして延長後半に投入され、真ん中下にズバッと決めたFWディバラも外せない。両チームのサポーターが作り出すスタジアムの雰囲気も最高だった。

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 カタールW杯は全日程、64試合が終了した。約1か月、世界最大級のスポーツイベントはサッカーファンを魅了し続けた。次回は3年半後。米国、カナダ、メキシコの共催となる。大会方式はまだ決まっていないし、48か国になる実感もまるでないし、この決勝以上の試合が見られる保証なんてどこにもないが…。何というか、まだ終わったばかりだけど、待ち遠しい。(記者コラム・岡島智哉)

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