G史上最強セカンドを目指す! 巨人・吉川尚輝内野手(27)が13日、打率3割&ゴールデン・グラブ賞に、全試合出場を来季の目標に加えた。長い球団史の中で3項目を同時に達成した二塁手はおらず、日本球界でもレジェンドクラス5人のみ。この日は都内の認定NPO法人を訪れ、経済的に困難を抱える家庭に食料品を届ける事業「こども宅食」に協力した。進化を遂げ、子供たちに夢と希望を与えるヒーローになる。
吉川は無邪気に笑う子供たちの姿を思い浮かべた。今季から始めた社会貢献活動「吉川尚輝チャイルドドリームプロジェクト」の一環として、支援先団体のフローレンス社で食料品などの梱包(こんぽう)ボランティアを体験。お菓子でいっぱいになった箱を見ながら「一人でも多くの人に勇気や感動、希望を与えられるように」と決意を込めた。
6日の契約更改で自身初の打率3割とゴールデン・グラブ賞を来季の目標に掲げた。そしてこの日、新たに「今年はデッドボールがあって10日間の抹消があったので、来季は全試合出られるように」と全試合出場を加えた。巨人では3項目を達成した二塁手はいない。球界でも辻発彦(西武)、和田豊(阪神)、立浪和義(中日)、本多雄一(ソフトバンク)、菊池涼介(広島)の5人だけだ。全てのハードルを超えれば、“ジャイアンツ史上最強”の称号へと近づく。
プロ入りから数年は腰痛など度重なる故障で持ち前の能力を発揮できない苦悩の日々を過ごしたが、トレーナーと二人三脚で屈強な肉体をつくり上げてきた。今季は自己最多の132試合に出場して打率2割7分7厘、7本塁打、31打点。「今年以上の成績を出せるようにしっかりこのオフからやっていきたい」と力がみなぎる。
チームのため、次代を担う子供たちのためでもある。「僕が活躍することによって支援の輪も広がる。より一層、頑張らないと。しっかりと責任を持ちながらやっていきたい」。経済的な理由で夢を諦めざるを得ない子供たちに「夢を持ち続けてほしい」という思いで社会貢献活動を始めた。今年は「シーズンの公式戦で記録した得点数(64)と盗塁数(16)の合計×1万円」で80万円をフローレンス社に贈った。全試合に出場すれば、得点と盗塁の機会もそれだけ増える。
少年時代、金銭的な理由などでプロ野球選手への道が閉ざされていく友人を見て「心を痛めた」経験も持つ背番号2。最後に「野球をやってくれる子が増えれば」と自身の夢を語った。副主将として覇権奪回に向かうチームの先導役も務める。難しいチャレンジだが、必ずやり遂げる。(中野 雄太)