【高校野球】13人目の部員は女子ノッカー 21世紀枠候補の城東(徳島)永野マネジャー 県有数の進学校

ノックバットを持つ城東高の永野悠菜マネジャー
ノックバットを持つ城東高の永野悠菜マネジャー

 ノッカーのマメがさけ、手から流血した。マネジャーが手当てしてくれそうな場面。だが、ノッカーは自ら部室に走った。自分がマネジャーだから。絆創膏(ばんそうこう)を巻いた永野悠菜さん(2年)の両手はマメだらけだった。

 四国地区の21世紀枠候補に選ばれた城東高(徳島)。県有数の進学校で、学業優先の生徒が多く、男子部員は1、2年生各6人の計12人。グラウンドも狭く、新治良佑監督(34)は「フリー打撃を最後にしたのは、いつだっけ?」。それでも、バントだけの実戦練習など、選手が工夫し、機動力野球で今秋徳島大会で4位になった。

 唯一のマネジャーの永野さんも自主的に動いた一人。今春、指導者不在の日にノッカーを務めた選手が「きょうはノックを受けられんかった」と漏らした。部員不足の悩みを耳にし「私がノックを打てば、みんなが練習できる」と思い立った。

 だが、運動は「苦手です」。中学時代は吹奏楽部。ノックの練習を始めたが、空振りばかり。だが、朝練に参加してノックバットを振り続けた。今はボールが前に飛ぶようになり、この日は外野ノックを担当。大きなフライは打てなくても、立派な戦力になった。

 同学年のマネジャー2人は、学業に専念するため、今春限りで退部した。永野さんも少し迷った。でも、「マネジャーがゼロになっても部活が回るんだ、と考えたら、悔しくて」。マネジャーとしての誇りが芽生え、野球部にとどまった。

 有名国立大を志望する。しかし、マネジャー兼ノッカーのハードワークで、練習後は勉強する体力が残っていない。そのため、朝に早起き。特別に6時に学校に入れてもらい、1時間の自習。その後、朝練に参加する。

 幼なじみの森本凱斗主将(2年)に誘われて入部した頃は「甲子園の存在は知ってたけど…」という“野球音痴”だったが、「特にノックの練習をするようになって、野球への向き合い方が変わった。今は、甲子園のベンチに入るのを楽しみにしています」。同じ徳島の池田は1974年のセンバツで、11人の「さわやかイレブン」で準優勝。城東は「12人プラス1」で初の甲子園を待ち望む。

野球

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×