9日の金曜ロードショー(後9時)は先週の続編「天使にラブ・ソングを2」(1993年、日本公開は94年)が放送される。
修道院を離れ、ラスベガスで歌手として活動をしていたデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)の元に、修道女の友人たちがやって来る。彼女らは現在、社会奉仕として高校で働いているが、言うことを聞かない生徒たちにお手上げ状態。デロリスに助けを求めに来たのだった。
事情を聞いたデロリスは、再び「シスター・クラレンス」として高校の音楽クラスを受け持つことになる。ただ、生徒たちのワルガキぶりは、想像以上だった。さすがのデロリスもさじを投げようとするが、高校の「ある事情」を知り、改革を目指すことに。彼女が提案したのは、生徒たちによる聖歌隊を作ることだった。元々音楽が好きな生徒たちは、徐々にデロリスに心を開くようになる。
物語の基本的な展開は、前作と同じ。舞台が修道院から学校に変わり、デロリスの相手が子供たちとなることで、やや説教くさく感じられる場面もあるものの、前作同様に最後は笑顔になれる作品だ。生徒の一人・リタが、親から「歌ではごはんは食べられない」と否定されながらも、夢を諦めずに立ち向かっていく姿は、記者が大好きなロビン・ウィリアムズ主演の映画「いまを生きる」(89年、日本公開は90年)を思い出させるが、同作とは違って悲しい結末を迎えることはないのでご安心を。
そのリタを演じるのは、当時10代のローリン・ヒル。後に99年のグラミー賞で年間最優秀アルバム賞(「ミスエデュケーション」)など5冠を獲得するR&B歌手は、1000人のオーディションを勝ち抜いて役を手にした。クライマックスシーンでの独唱は見どころの一つ。本作の話題が出ると「ローリン・ヒルの少女時代に注目」がトピックとなるのは当然だが、実は彼女以外にも忘れてはならない生徒役がいる。
一人は、クラスの中では気弱なアマール。歌のレッスンでも最初は声を出すのもままならないが、最後は美声を響かせる少年を演じたライアン・トビーは、「フレッシュ・プリンス」の名前で音楽活動をしていたウィル・スミスとタッグを組んで作品を発表。その後も多くのアーティストに楽曲を提供している。
また、教室で化粧をするのに余念が無いマーガレットを演じたのはジェニファー・ラブ・ヒューイット。ホラー映画「ラスト・サマー」(97年、日本公開は98年)の主演で一気にスター女優への道を駆け上がった。セクシーさでも知られるが、当時はまだあどけなさの残る14歳。最近はあまり名前を聞かなくなってしまったのは残念だが、そんな姿を見られるのも、古い映画の楽しみでもある。(高柳 哲人)