今季ア・リーグのMVPとなったアーロン・ジャッジ外野手が7日(日本時間深夜)、ヤンキース残留を決断したと米各メディアが伝えた。報道によれば9年総額3億6000万ドル(約493億円)で年平均4000万ドル(約54億8000万円)はエンゼルス・トラウトの3600万ドル(約49億3000万円)を上回り、野手史上最高額となる。
ジャッジはシーズン開幕前にヤンキースから7年2億1350万ドル(約295億円)の契約延長を提示を受けたがそれを拒否してシーズンイン。すると。ア・リーグ新記録の62本塁打を放っただけでなく131打点で2冠王。打率も2位の3割1分1厘をマークする活躍でチームの地区優勝に大きく貢献。MVP投票では1位票で28―2でエンゼルス・大谷に圧勝。オフにはフリーエージェントとなっていた。
そのため、争奪戦が一気にヒートアップ。ヤンキースが8年3億ドルのオファーとの報道もあったが、生まれ故郷のカリフォルニア州に本拠地を置くジャイアンツも積極的に獲得に乗り出していたが、ヤンキースも8年契約に+1年として対抗し移籍を食い止めた。
過去、MVPになった選手がオフにFAになって移籍したケースは珍しく、1992年バリー・ボンズ外野手がパイレーツからジャイアンツに移籍した1例しかなかった。
ボンズはパイレーツで3年間で2度MVPを獲得。チームも3年連続地区優勝したもののワールドシリーズ進出は出来ず。高騰した年俸に絶えきれずジャイアンツに移籍したのだ。今年のジャッジも、同じジャイアンツが獲得に乗り出して30年ぶりのMVP→FA移籍になるところだった。
これで来季のヤンキースのメディア・ガイドはジャッジが表紙を飾るのは間違いない。
ちなみにMVPがFAではなくトレードされた例には2004年のアレックス・ロドリゲス内野手、2018年ジョンカルロ・スタントン外野手。前者がレンジャーズ、後者がマーリンズとそれぞれ長期契約を結びながら、チーム成績に繋がらないこともあって、ヤンキースに放出された事もあった。
多くの長期契約選手が途中で故障などに泣いてファンが望む成績を残せないまま姿を消すケースが少なくない。ジャッジが故障無く9年間を過ごして活躍する事を祈るばかりだ。
蛭間 豊章(ベースボール・アナリスト)
3億6000万ドル(約490億円)との条件もメディアで取り沙汰されていた。
◆アーロン・ジャッジ(Aaron Judge)1992年4月26日、米カリフォルニア州生まれ。30歳。生後まもなく教師だった両親の養子に入った。2013年ドラフト1巡指名でヤ軍入り。17年52本塁打で本塁打王と新人王。メジャー通算729試合で打率2割8分4厘、220本塁打、497打点。右投右打。201センチ、128キロ。今季年俸1900万ドル(約26億6000万円)。