常に「目力」を意識して演技…ウルトラセブンを創った人たち〈16〉

スポーツ報知
森次晃嗣さん(2017年5月30日に川崎「怪獣酒場」で撮影)

 2022年に初回放送から55周年を迎えた人気特撮ドラマ「ウルトラセブン」が、盛り上がりを見せています。昨年10月には「第35回東京国際映画祭」で特別上映され、雑誌などでも特集が組まれるなど、今年秋まで様々な関連イベントが企画されています。

 1966年7月、「ウルトラマン」からスタートした「ウルトラマンシリーズ」は、「―セブン」(67年10月~68年9月)と続き、21世紀に入っても、新たなヒーローが、宇宙の平和を守ってくれています。

 スポーツ報知では円谷プロの協力のもと、45周年となった2011年に初ウルトラマンの誕生秘話を追った連載「光の国を創った人たち」を全20回、掲載しました。続いて12年には「ウルトラセブンを創った人たち」を20回にわたり連載。様々な関係者の証言を元に、永遠のヒーローの実像に迫りましたが、今回、この2つの連載をWEBのみ加筆・修正して再掲載します。それでは、―セブン誕生秘話をお楽しみください。(毎日更新)

 「セブン」撮影当時、モロボシ・ダンを演じた森次浩司(現・晃嗣)は神奈川・藤沢市に住んでおり、撮影所の最寄り駅である小田急線成城学園前駅まで電車で通った。午前5時に家を出て、およそ1時間半をかけての“通勤”。撮影が終わると、また1時間半かけて帰ってくる―そんな1年間だった。

 「休みなしで、そりゃあクタクタだった。風邪を引いたって休めないんだから。若かったから出来たんだろうね。電車の中で子供たちに『ダンだ!』なんて声を掛けられることはなかったな。当時の子供たちがそれだけ純粋だった、ということ。ダンは本当にどこかにいて、今も怪獣や宇宙人と戦っている…と思っていたんだよ。小田急線の中にいる、なんて思ってなかった。今の方がよほどヒソヒソとやられたり、『セブンだ…』と指をさされたりする。だから、ダンが女性と手をつないで乗っていても、誰も気が付かなかったと思うよ」

 ダンを演じる上で森次が一番、意識したのは目力(めぢから)だったという。

 「企画書の段階でタイトルが『ウルトラアイ』だったでしょ? 変身する小道具もウルトラアイだし、『目に印象があった方がいいかな』と思って、常に意識していた」

 ダンはセブンが地球に滞在するために姿を借りたものであり、宇宙人、人間双方の気持ちが分かるために悩み、苦しむことがあった。

 「そういうダンの心情も各監督さんがうまく撮ってくれたなあ、と思う。見終わって、余韻の残る作品が多かったよね。子供には『ウルトラマン』の方が分かりやすかったと思う。セブンの方が視聴率が10%くらい落ちていたからね。でも、その余韻が今でも『セブン』に惹(ひ)かれるファンの心をつかんでいるんだろうね」

 宇宙人がゆえに、どこか孤独感を漂わせていたモロボシ・ダン。そんなダンを励まし、温かく包んでいたのが、ウルトラ警備隊の紅一点・友里アンヌ(菱見百合子=現・ひし美ゆり子)だった。=文中敬称略

 〇…ウルトラアイを装着する時の「デュワッ!」をはじめ、劇中、セブンが発する「ダーッ!」などの掛け声も森次自身によるもの。「監督から『やって』と言われたので、丸一日かけて録音した。何パターンも取ったから『デュワッ!』も意識して発したんじゃない。『変身シーンに一番、合うものを』とスタッフが選んだものがこれだっただけ」。森次は後年、「ウルトラマンメビウス」で主人公・ヒビノ ミライを演じた五十嵐隼士に声の当て方を指導している。

 〇…円谷プロ公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」では「ウルトラセブン」放送55周年を記念し、全エピソードからセレクションした1話を毎月無料配信している。1月は第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」。今後、毎月更新される。「ウルトラセブン」は有料プランでいつでも見放題となっている。

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