休憩中に泥酔、セリフは交代…ウルトラセブンを創った人たち〈13〉

スポーツ報知
毒蝮三太夫、森次晃嗣、ひし美ゆり子、古谷敏の各氏(2017年5月30日川崎「怪獣酒場」で撮影)

 2022年に初回放送から55周年を迎えた人気特撮ドラマ「ウルトラセブン」が、盛り上がりを見せています。昨年10月には「第35回東京国際映画祭」で特別上映され、雑誌などでも特集が組まれるなど、今年秋まで様々な関連イベントが企画されています。

 1966年7月、「ウルトラマン」からスタートした「ウルトラマンシリーズ」は、「―セブン」(67年10月~68年9月)と続き、21世紀に入っても、新たなヒーローが、宇宙の平和を守ってくれています。

 スポーツ報知では円谷プロの協力のもと、45周年となった2011年に初ウルトラマンの誕生秘話を追った連載「光の国を創った人たち」を全20回、掲載しました。続いて12年には「ウルトラセブンを創った人たち」を20回にわたり連載。様々な関係者の証言を元に、永遠のヒーローの実像に迫りましたが、今回、この2つの連載をWEBのみ加筆・修正して再掲載します。それでは、―セブン誕生秘話をお楽しみください。(毎日更新)

 ウルトラ警備隊・フルハシ隊員を演じた毒蝮三太夫(当時・石井伊吉)が今も忘れられないシーンがある。第41話「水中からの挑戦」でのものだ。

 「カッパ怪獣の『テペト』が出てくる話ね。世田谷・砧でのロケだったと思うけど、次のシーンの撮影まで時間が空いたんだ。で、満田●(かずほ)監督が『少し休んでいてよ』と言うから、みんなでアマギ(古谷敏)の車で、成城にあった行きつけのスナックみたいな店に行ってね。最初はお茶を飲んでいたんだけど、待てど暮らせど連絡が来ない。その店には満田監督のボトルが置いてあったから『よーし、飲んじまえっ!』って。で、撮影が再開したら、俺はろれつが回らなくてセリフが言えない。満田監督、『セリフはダンが言ってよ』だって。自分が『休んでこい』と言ったもんだから怒れないし、困っていたね」

 もう一つが、フルハシが主人公となる第24話「北へ還れ!」だ。

 「この話は市川森一が書いたんだけど、フルハシの母親(市川春代)、妹(山口奈々)が出てくるんだ。ウルトラ警備隊隊員の家族が出てくる話なんて初めてじゃないかな。市川さんは片岡千恵蔵さんなんかと共演歴のある戦前からの映画の大女優。その人が母親役なんてうれしかったね。ドラマ冒頭、フルハシが故郷・北海道に帰るシーンで、汽車の客車の中、コートの襟を立てて座っているんだけど、これは高倉健を意識した。満田監督に『健さんみたいに演じていいか』って聞いたんだよ。劇中で母親に『シゲル』って呼ばれるんだけど、下の名前が分かったのもうれしかったね」

 アマギ隊員を演じた古谷敏は「科特隊のアラシより、フルハシを演じていた伊吉(毒蝮)ちゃんの方が素に近かったのではないか」と話している。

 「スタッフも『ウルトラマン』の経験があったから、リラックスした雰囲気になったのかもしれない。でもね、作品にかける意気込みは(ウルトラ)マンもセブンも一緒だったよ。セブンは俺が『石井伊吉』の名前で出た最後の作品。その後は『毒蝮―』になっちまった。そういう意味でも節目の作品だね」=文中敬称略

●=のぎへんに斉

 〇…「北へ還れ!」でフルハシが故郷の駅に降り立つ場面で使われたのは、国鉄(当時)小海線の野辺山駅だ。「北海道には行けないから、ロケは八ケ岳の麓でやったんだよ。今は雪が少なくなったようだけど、セブンの当時は結構、あの辺りも雪が積もってね…『北海道』って言われても信じる光景だろ? 確か駅名は貼り紙か何かで北海道にある駅名を書いて貼ってさ、ロケをしたんだよ」(毒蝮)。

 〇…円谷プロ公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」では「ウルトラセブン」放送55周年を記念し、全エピソードからセレクションした1話を毎月無料配信している。1月は第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」。今後、毎月更新される。「ウルトラセブン」は有料プランでいつでも見放題となっている。

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