世知辛い年の瀬にブラボーなそば「かんだ やぶそば」

スポーツ報知
瓶ビールと天ぷらそば。これぞ大人の時間である

 誰にも好きな道がある。私の場合はJR神田駅から秋葉原駅まで。中央通りを歩くのが好きである。

 東京ラーメンの老舗(しにせ)「ミルクホール」が惜しまれつつ閉店したのが昨年10月。今年2月に場所を移転して復活したという風の噂(うわさ)を耳にした時はうれしかった。昔ながらの醤油ラーメン、家庭の味のカレーライス。神田に通う理由がまた一つ増えた。以前の場所から直線で約220メートルの距離。ウサイン・ボルトなら約20秒で着いてしまう。

 多くの著名人に愛されたうなぎの「神田きくかわ」も相変わらずの存在感。創業は1947年(昭和22年)。注文を受けてから蒸し、蜂蜜を使ったタレでじっくり焼き上げる江戸前の名店でもある。

 サラリーマンの喧噪(けんそう)漂う神田と若者の熱気でにぎわう秋葉原に須田町がある。まさに、そこだけ別な風が吹き抜ける異空間だ。という訳で今回は須田町の老舗「かんだ やぶそば」で至極の一杯をいただくことにした。

 町のそば屋なら午後休憩は当たり前。「やぶそば」は11時半からラストオーダーの20時まで休まず営業してくれる。体がその日の最初の一杯を欲しがるのが16時。楽々とテーブルに座ることができる。すぐに瓶ビールとかまぼこを注文。かまぼこは小田原産、歯ごたえがあってビールとのコラボレーションも最高。目の前には竹薮の庭園が少しだけ見える。都会の真ん中で味わう江戸文化に自然と心も休まる。

 締めは天ぷらそば。天ぶらは芝エビを高温濃口ごま油でかき揚げにしている。軽くてサクサクという感じではない。重みが持ち味で食べ応えがある。そばは細めで少なめ。「じっくり味わってほしい」という老舗のメッセージが伝わってくる。つゆは私好みの少し甘めであっさり。最後の一滴まで飲み干した。

 世知辛い年の瀬。慌ただしい日常が続くが、たまにはのんびりと最高のそばをつまみに飲むのもブラボー。東京に「やぶそば」あり。

 ◇「かんだ やぶそば」 創業は1880年(明治13年)。そば文化は江戸時代に始まり、江戸生まれの「やぶ」、大阪が起源の「砂場」、信州出身の「更級」が老舗御三家と呼ばれている。13年には夜間に発生した火災により約600平方メートルのうち190平方メートルを消失したが、旧店舗を取り壊し改装。翌年に新店舗での営業を再開した。

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