中村憲剛氏、W杯8強へはビッグクラブで普段から勝ち方を染み込ませることが鍵

延長前半、ドリブルで切り込みシュートを放つ三笘薫(カメラ・小林 泰斗)
延長前半、ドリブルで切り込みシュートを放つ三笘薫(カメラ・小林 泰斗)

◆カタールW杯 ▽決勝トーナメント1回戦 日本1(PK戦1―3)1クロアチア(5日・アルジャヌーブ競技場)

 元日本代表の中村憲剛氏(42)が、PK戦の末に敗れたクロアチア戦を総括。4年後の8強入りのために、戦いの幅を広げながら、選手がビッグクラブに在籍することなどを課題に挙げた。

 日本はどれほど経験を積めば8強の壁を乗り越えられるのだろうか。クロアチア戦を見終え、そう感じた。日本が前進していることは明らかで、いくつも歴史を塗り替えた。海外のW杯で初めて1次リーグを1位通過した。ドイツ、スペインに逆転勝ちしたことは、輝かしい歴史として語り継がれるはずだ。ただ、8強を懸けた戦いでは、確かな差が認められた。

 1つは戦い方の幅。スペイン戦に続き、日本が取った布陣は5―4―1。特に前半30分過ぎからは日本の時間で、その流れから先制点を奪うことに成功した。クロアチアの武器の一つ、モドリッチを中心とした流動的な中盤をよく監視できていたと思う。チャンスもあった。ただ、彼らは徐々に日本の戦いにアジャストし、カウンター攻撃狙いに対応しつつあった。

 クロアチアは、リスク管理を徹底した上でゴールを取りにいく。中盤のパスワークによる崩し。サイド、ペナルティーエリアの角から上げるクロス。スピードを生かした攻撃。高さも使った。サッカーは手の出し合いだ。一方が策を出したら、もう一方が対応策を打つ。そのせめぎ合い。どちらが上回るかの勝負。カウンターを警戒された日本は、三笘の突破力に懸けるしかなかった。

 2つ目は攻守のイメージの共有。状況に応じて、守るべきところは全員で身をていして守り、攻めるべきところで人数をかけて攻める。クロアチアはゲームの流れを読み、ピッチにいる全員が同じ絵を見て、プレーしていることも伝わってきた。日本の圧を受けても止めて、蹴る―の技術がしっかりしているため、奪われない回数の方が多かった。基礎技術は時間を作り、選択肢を広げる。日本もフルスロットルで苦しめたが、上回ることができなかった。

 8強には、相手の良さを消すことだけでは、たどり着かないのかもしれない。それをやった上で自分たちの良さを発揮し、主導権を握ることが求められる世界なのではないか。そうだとすれば、日常が大事になる。ビッグクラブにより多くの選手が所属し、崩し方、勝ち方を体に染み込ませることがまだ見ぬ景色に到達するための鍵になるのではないか。

 日本は世界と戦える。世界に近づいた。それは事実だ。しかし、近づいた分、まだ距離があることも知った。それをこの試合を見た多くの人が分かったと思う。この試合を見て、将来ベスト8を超える選手たちが生まれるかもしれない。裾野を広げ、競技力を上げるという観点でも、今回の日本代表には感謝しかない。日本サッカー史に残る濃厚な4試合に心からの感謝を伝えたい。(元日本代表、川崎MF・中村憲剛)

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