PKを失敗した選手を責めてはいけない PKを蹴る勇気と覚悟をたたえるべき…現場記者の目

スポーツ報知
吉田麻也(手前)がPKを止められたのを見つめる森保一監督(中)(カメラ・宮崎 亮太)

◆カタールW杯▽決勝トーナメント1回戦 日本1―1(PK1―3)クロアチア(5日・アルジャヌーブ競技場)

 【アルワクラ(カタール)5日=岡島智哉】日本はクロアチアに1―1で迎えたPK戦の末に敗れ、悲願だった8強進出を逃した。

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 PK戦での負けは、公式記録上は引き分けとなる。森保ジャパンの今大会は、2勝1分け1敗という形で幕を下ろした。優勝経験国のドイツ、スペインに勝利。前回大会準優勝のクロアチアにも奮闘した。目標には届かなかったが、下馬評の低さを鑑みて客観的に見れば、胸を張っていい結果だと感じる。

 もう少しFWが時間を作れていれば。高さを徹底的に攻めようとする相手を封じる一手があれば。三笘薫が攻め込める時間を増やせれば。攻撃のバリエーションがもっとあれば。挙げればキリがなく、さらに言えばコスタリカ戦で勝ち点3を落としたことで、第3戦に主力を投入せざるを得なかったこと、あるいは開幕前に3バックを試す時間が限られたことなど、この4年半を通じた分析が必要になってくるだろう。

 日本サッカー協会も4年後に向け、テクニカルレポートを作成する。今後現地で取材するメディアが行うであろう総括・提言の中に、目を向けるべきものもあるはずだ。

 しかし、PK戦で失敗した選手たちを責めることだけは間違っている。PK戦に、「たられば」などない。

 PKは立候補制だったという。結果的に、南野拓実、三笘薫が連続で失敗。3人目の浅野拓磨は決めたが、4人目の吉田麻也も止められた。相手の4人目の成功で、5人目に予定されていたMF遠藤航に出番は回らず、勝敗はついた。

 三笘は「蹴った責任はある。迷惑をかけた。覚悟があったから手を挙げた」と涙。南野も、吉田も涙した。

 10年南ア大会でPK戦敗退を経験しているGK川島永嗣は「蹴った選手は勇気のある選手。自分たちから進んで決断した。1人ひとり、やってきたことを誇ってほしい」と語った。MF守田英正も「PKを蹴った選手は誇り」、遠藤は「蹴った選手を責めることはできない。チームとして、PK戦になってしまったところが敗因」と振り返った。

 PKを失敗した選手たちに、怒りの矛先を向けてはならない。94年米国W杯決勝でPKを失敗したイタリア代表のロベルト・バッジオは「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気をもった者だけだ」と言った。名言として残るこの言葉がいま一度、日本で広まってほしいなと思う。(岡島 智哉)

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