刑事ドラマ「太陽にほえろ!」などで活躍した俳優の渡辺徹(わたなべ・とおる)さん(本名同じ)が11月28日午後9時1分、敗血症のため死去した。61歳。所属する文学座が2日、発表した。渡辺さんは11月20日に発熱、腹痛の症状が出たため、都内の病院を受診。細菌性胃腸炎の診断で入院し、その後、敗血症と診断された。懸命な治療が続いたが、帰らぬ人となった。
親しみやすい人柄で誰からも愛された渡辺さんが逝った。妻の女優・榊原郁恵(63)、裕太ら家族にみとられ、天国へと旅立った。
所属事務所によると、渡辺さんは11月20日に発熱、腹痛の症状が出たため、都内の病院を受診。細菌性胃腸炎と診断され、大事を取って入院した。その後、容体が悪化。敗血症の診断を受けて加療したが、回復に至らなかった。
入院からわずか8日後の出来事に、渡辺さんを知る関係者は「あまりに突然の出来事で、いまだに信じられません。12月の仕事の準備をしていましたから」と声を絞り出した。
先月6日まで舞台「今度は愛妻家 THIS TIME IT’S REAL」に出演。入院前日の同19日には、秋田大学医療フォーラムのシンポジウム(秋田市)に出演した。普段と変わらない様子だったという。
関係者は「郁恵さんも裕太くんも気丈に振る舞っています」と家族の様子を明かした。榊原は舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」(東京・TBS赤坂ACTシアター)に出演中だが、11月30日の公演回からダブルキャストの高橋ひとみ(61)が代役を演じている。裕太は1日に日本テレビ系「news every.」、この日も金曜MCを務める岩手テレビ「5きげんテレビ」に、普段と変わらない様子で生出演した。
榊原は、裕太と共に後日、会見の場を設け、最愛の夫について語るとみられる。
渡辺さんは流しの演歌師の父親、そのマネジャーだった母親の間に一人っ子で生まれた。1980年に文学座研究所に入所。81年に日本テレビ系「太陽にほえろ!」の新人刑事・ラガー刑事役でデビューし、大ブレイクした。
82年には「彼〈ライバル〉」で歌手デビュー。同年のグリコ「アーモンドチョコレート」のCMソング「約束」が大ヒットし、アイドル級の人気を誇った。軽妙な語り口と人懐っこいキャラクターで老若男女から親しまれ、日本テレビ系「24時間テレビ『愛は地球を救う』」の総合司会などを務めた。
私生活では同局系「風の中のあいつ」(84年)などの共演をきっかけに、87年に榊原と結婚。生中継された披露宴は平均視聴率40・1%(ビデオリサーチ調べ)を記録した。89年に裕太、96年に次男が誕生。結婚30周年の2017年に夫婦初共演のステージを開くなど、芸能界きってのおしどり夫婦として知られた。
◆渡辺 徹(わたなべ・とおる)1961年5月12日、茨城・古河市出身。80年文学座研究所入所。83年「夜明けのランナー」で映画初主演。84年エランドール新人賞。85年文学座座員に。2001年菊田一夫演劇賞。14年から日本将棋連盟の将棋親善大使。16年度の二科会写真部展(A単写真部門)入選。城西国際大メディア学部特任教授。