中村憲剛氏「つながる守備」でスペインを中盤に閉じ込めた…我慢強く粘り強く戦う森保ジャパンの真価発揮

後半、冨安健洋(左)に指示を出す森保一監督(カメラ・宮崎 亮太)
後半、冨安健洋(左)に指示を出す森保一監督(カメラ・宮崎 亮太)

◆カタールW杯 ▽1次リーグE組 日本2―1スペイン(1日・ハリファ国際スタジアム)

 元日本代表の中村憲剛氏が、歴史的勝利を挙げたスペイン戦を総括。森保ジャパンの「つながり」を勝因に挙げた。

 つながる守備が勝因になった。森保監督が選択した5―4―1。序盤からスペインにボールを保持されたが、横にきれいに並んだ3つのラインはそこまで崩されることはなかった。そして前からボールを奪いにいきすぎず、後ろに下がりすぎず、横パスは回させ、縦に入るボールには守備にいく。ピッチにいる全員が同じイメージを共有して守備に当たっていることが伝わり、スペインのいつものテンポとリズムを出させなかった。

 特にファーストDFとなるFW前田の位置取り、判断は効果的だった。スペインの配球役・ブスケツを背中に置きながら、DFラインで回すボールを見た。ブスケツがいい位置でボールに触れる機会を減らし、後ろに控える田中、守田のボランチ2人の負担を軽くする動き。また、DFラインはドイツ、コスタリカ戦よりも勇気を持って高く保ち、スペインを中盤に閉じ込めることに成功した。3(5)バックを採用した3試合の中で最も意思統一されていた。

 この試合に向けて準備してきたことが表現できたと感じると同時に、この「つながり」を生んだのは、責任だと感じる。監督の指示を受けてやっている感覚だけだと、どこかで綻びが出る。これほどボールを持たれたら、我慢強い守備は続かない。いかに選手一人ひとりが勝つために自分ごととして取り組めるかが肝要だ。そういう意味では、監督が提示をしたものに、ピッチ上の選手たちからの生の声を集めながらともに最適解をつくっていく森保ジャパンだからこそ、選手は当事者意識を持ち、それが個々の責任感を増幅させ、チームの我慢強さにつながっていると思う。ドイツ、スペインを破ってのベスト16という、ここまでの過程や結果を見ていると、今大会に関して言えば、この戦い方が今の日本には合っているのであろう。

 組み合わせが決まった時に、誰がドイツ、スペインに勝利しての1次リーグ突破を思い描けただろうか。2試合とも先制されたが、90分を終われば逆転している。相手は先制されても、なぜ失点したチームが、なぜ前に出てこない?と不思議な感覚を持ったと思う。私も、不思議な試合を見ている感覚がある。選手たちがつなぎ合わさり、我慢強く粘り強く戦う。この森保ジャパンの強みを、一発勝負となる決勝トーナメントでも、ぜひ発揮してもらいたい。(元日本代表、川崎MF・中村憲剛)

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