科特隊は武骨「七人の侍」みたい…初代ウルトラマン誕生秘話「光の国を創った人たち」〈11〉

スポーツ報知
アラシ隊員を演じた毒蝮三太夫(2011年5月27日撮影)

 今年、初回放送から55周年を迎えた人気特撮ドラマ「ウルトラセブン」が、盛り上がりを見せています。10月には「第35回東京国際映画祭」で特別上映され、雑誌などでも特集が組まれるなど、今後1年にわたって様々な関連イベントが企画されています。

 1966年7月、「ウルトラマン」からスタートした「ウルトラマンシリーズ」は、「―セブン」(67年10月~68年9月)と続き、21世紀に入っても、新たなヒーローが、宇宙の平和を守ってくれています。

 スポーツ報知では円谷プロの協力のもと、45周年となった2011年に初代ウルトラマンの誕生秘話を追った連載「光の国を創った人たち」を全20回、掲載しました。続いて12年には「ウルトラセブンを創った人たち」を20回にわたり連載。様々な関係者の証言を元に、永遠のヒーローの実像に迫りましたが、今回、この2つの連載をWEBのみ加筆・修正して再掲載します。

 まずは「光の国を創った人たち」からスタートです。お楽しみください。(毎日正午更新)

 熱血漢で男気あふれる科学特捜隊(科特隊)アラシ隊員は石井伊吉(いよし)=現在の毒蝮三太夫が演じた。舞台や映画の子役から芸能活動を始め、テレビドラマには1950年代から出演していた。

 「以前、ドラマ出演で顔見知りだったTBSの栫井巍(かこい・たかし)プロデューサーから『今度、こういうドラマやるけどどうだ?』って言われてね。ギャラも安いし、売れっ子じゃないから時間は余っているし…そんなんで選ばれたんじゃねえかな。他のヤツだって一緒だよ。特撮に金がかかるんだから、売れっ子の役者なんて呼べるわけないだろ」

 特撮ヒーローもの―といわれても、まるで見当がつかなかった。おまけに、周囲からは「ジャリ番」とさげすまれる子供番組。「島流しにあった」感覚だったという。

 「黒部(進)もロコ(桜井浩子)も二瓶(正也)も、みんな映画に出たいと思って俳優になったんだから、気持ちは同じだったと思う。初めて科特隊のオレンジ色の制服を見たときは『これを着んのか!』って恥ずかしくてね。特にTBSのスタジオで撮影があったときなんかは、知り合いに会わないように逃げ回っていたよ」

 撮影時、助監督から「怪獣はあそこにいる感じです。身長はおよそ40メートルです」と説明されても、どこに視線を向ければいいか分からない。

 「面倒臭いから『いろんな角度のものを20パターンくらい撮って、それを使い回せ』って言ったんだけど『ダメだ』って。最近、ウルトラマンをやる子はみんなイケメンだけど、当時は二枚目がいなかった。セリフもうまくねえし…。黒部だってマーロン・ブランドの若い頃には似ていたけど、イケメンじゃない。『七人の侍』みたいに武骨で、個性的だったよな」

 そんな武骨な面々が、子供たちの憧れの存在になっていった。=文中敬称略=

 ◆毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)1936年3月31日、大阪生まれの東京・浅草育ち。36歳。中学入学後の48年に児童劇団に入り、本名・石井伊吉で俳優として活動。ウルトラマンシリーズの次作「ウルトラセブン」でもウルトラ警備隊・フルハシ隊員を演じた。67年から「笑点」に2代目座布団運びとして登場。68年12月15日放送から「毒蝮三太夫」と改名した。

 〇…円谷プロ公式サブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」では、有料プランに登録すると「ウルトラマン」がいつでも見放題となっている。また、Prime Video独占配信がスタートした映画「シン・ウルトラマン」を87倍楽しむため「ウルトラマン」特集も同サービス内で展開中だ。

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