宝塚歌劇星組「ディミトリ~曙光(しょこう)に散る、紫の花~」の新人公演が29日、兵庫・宝塚大劇場で上演された。新人公演最上級生となる入団7年目のホープ・天飛華音(あまと・かのん)が「GOD OF STARS―食聖―」(2019年)、「柳生忍法帖」(21年)に続き、3度目の主演を務めた。
反逆者としてジョージア王国を追われた王配ディミトリ(天飛、本役・礼真琴)が、思い出の土地を敵国から取り戻そうと命をかける物語。公演を率いる長(リーダー)でもある天飛はカーテンコールで「この役を通して、愛するタカラヅカの舞台、お客様に一途な愛をお届けしたいと思いました」と、あいさつした。
天飛はバウホール公演などでも重要な役を務めて経験豊富だが「まだ課題だらけ」。本拠地・宝塚大劇場での新人公演はこれがラストとなるが、東京宝塚劇場での新人公演(来年1月19日)へ向け「さらに成長した姿をお見せできるよう、命をかけて精進してまいりたい」とブラッシュアップを誓った。
ディミトリとの夫婦間に亀裂が走るルスダン女王役は藍羽(あいは)ひより。入団2年目で初ヒロインに抜てきされた。原作小説(「斜陽の国のルスダン」)ではタイトルロールの責任重大な役だが、歌に芝居に感情を込め、舞台度胸の良さを発揮した。「このお役をさせていただくと決まった時は、不安やあせりなど様々な感情が駆け巡りましたが、上級生の方々に支えていただき、感謝の気持ちでいっぱいです」とホッとした様子。本役の舞空瞳からは「ドキドキすると思うけど頑張ってね」と一筆をもらい、「楽屋に飾っています。舞空さんに勇気づけられて頑張ることができました」と話した。
ジョージアを制圧しようと、苦境のディミトリに接近する敵国の帝王ジャラルッディーン(本役・瀬央ゆりあ)は2019年入団の第105期生・大希颯(たいき・はやて)、女王夫婦をわなに陥れる副宰相アヴァク(本役・暁千星)は大希と同期の4年目・稀惺(きしょう)かずとが担当した。