【尾車親方の目】貴景勝、錦富士と真っ向勝負で大関の意地見せた

スポーツ報知
貴景勝(左)は、押し出しで錦富士を破る(カメラ・佐々木 清勝)

◆大相撲 ▽九州場所12日目(24日・福岡国際センター)

 西前頭13枚目・王鵬が関脇・豊昇龍との同学年対決を制し、2敗でトップに並んだ。第48代横綱・大鵬を祖父に持つホープが、第68代横綱・朝青龍を叔父に持つ豊昇龍に快勝し、10勝目。2敗を守った東前頭筆頭・高安と合わせ、3人が並んだ。1差で大関・貴景勝、平幕の阿炎と輝の3人が追走。この日で年6場所全てで異なる優勝力士となることが確定した。31年ぶり3度目の珍事が起こった年を象徴するように、一年納めの場所も大混戦となった。

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 若武者・錦富士の真っ向勝負を大関・貴景勝が堂々と受けた。好調時の一番は身震いするほどの緊張感と興奮を与えてくれた。頭で当たり合った後、貴景勝の突き落としを錦富士が残した。その後は激しい突っ張り合い。スイッチの入った貴景勝は突っ張って頭で当たる連続技で大関の意地を見せた。

 往年の馬力は少し影を潜めた。因縁の逸ノ城には依然としてトラウマを払拭(ふっしょく)できないでいる。背中には痛々しい治療の痕が残っている。それでも貴景勝は優勝争いに踏みとどまっている。寡黙で決して弱音は吐かない昭和の力士のようなタイプ。御嶽海や正代は新旧交代の波にのまれ、新しい地図から姿を消している。貴景勝だけが大関の責務を見事に果たしてくれている。

 私を含めて大相撲の世界で生きてきた者にとって番付は心のよりどころ。番付の意味がない優勝争いは実に悲しいものである。最上位の貴景勝にはぜひ番付の力を見せてほしいものだ。(尾車親方=元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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