森保一監督 采配の流儀 ロシアでメンバー外の浅野拓磨 悔しさ知るから勝負所で起用…担当記者が読み解く

スポーツ報知
後半、三笘薫(右)と浅野拓磨(左)を投入する森保一監督(中)(カメラ・宮崎 亮太)

 FIFAランク24位の日本は、優勝4度を誇る同11位のドイツに2―1で逆転勝利した。森保一監督(54)は後半から3バックに布陣を変更し、攻撃的なカードを次々と切る積極采配。ともに途中出場のMF堂安律(24)=フライブルク=が同点弾、FW浅野拓磨(28)=ボーフム=が決勝点を挙げた。選手起用の信念を担当の井上信太郎記者が読み解く。

 ドーハの奇跡―。そう語り継がれるドイツ戦を終えた指揮官は少しだけ誇らしげに、だが落ち着いた表情で会見場に現れた。「サッカーは試合をやってみなければ結果は分からないということ。チーム一丸となってタフに粘り強く、最後まで戦い抜けば、我々に勝つチャンスが来るということを選手たちがやってくれた」。歴史的勝利をつかんだ選手を、チームをたたえた。

 後半開始からDF冨安を入れて3バックに変更。広島時代に採用していたこともあり「自分の中では持っているものがある。いつでも戻れる」と大一番で伝家の宝刀を振りかざした。この采配で局面を変えると、以降も後半12分に三笘と浅野を投入。さらに堂安、南野と同30分までに5枚の交代枠を使い切る積極采配で、“奇跡”をたぐり寄せた。

 指揮官は逆転劇の立役者となった浅野を、先発か、ベンチか、ギリギリまで迷ったという。森保監督には「振り返るだけでも鳥肌が立つ」という試合がある。広島監督時代にG大阪と対戦した15年のチャンピオンシップ第1戦。2度リードされながら後半ロスタイムに2点を奪い、3―2で勝利。この一戦で途中出場のMF柏好文が1得点1アシストの活躍をした。「彼は甲府で残留争いや大学時代にも入れ替え戦を経験している。メンタルの強い彼がここぞの場面で大事になると思った」とあえてベンチに置き勝負手として打った。

 ロシアW杯にコーチとして参加していた指揮官は、チームに同行しながらもメンバーに入れなかった浅野の悔しさを痛いほど知っていた。だからこそ浅野を最も大事な勝負所で起用し、それにまな弟子が応えた。「先発の11人だけで試合に勝てるとは思っていない。26人全員の力が必要」。常に対話を重視し、選手のバックグラウンドまで考える指揮官だからこそつかめた勝利だった。

 だが、目標はドイツに勝つことではない。あくまで日本史上最高の8強以上へ進むことだ。27日のコスタリカ戦に勝てば、決勝トーナメント進出が決まる可能性がある。ドイツ戦後の円陣。「次も同じように全員の力で戦っていくこと。次のゲームも大事になるぞ」と呼びかけた。森保ジャパンの長い旅はまだ始まったばかりだ。(井上 信太郎)

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