中村憲剛氏、日本・ドイツ戦総括 耐えれば何か起こる前半0-1 「OK」のメンタルが逆転呼ぶ 

スポーツ報知
後半、三笘薫(右)と浅野拓磨(左)を投入する森保一監督(中)(カメラ・宮崎 亮太)

◆カタールW杯 ▽1次リーグE組 ドイツ1―2日本(23日・ハリファ国際スタジアム)=W杯取材班

 元日本代表の中村憲剛氏(42)が、日本が歴史的勝利を収めたドイツ戦を振り返り、森保一監督が戦術面で、ドイツのフリック監督(57)を凌駕(りょうが)と総括した。

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 日本が戦術でドイツに勝った。しかもW杯の初戦で、指折りの戦術家として知られるハンジ・フリック監督率いるチームをまくった。日本がシステム変更した後半は、明らかにドイツのベンチが慌てていた。目の前で起こっていることの意味が分からなかったのだと思う。私たち、日本人でもびっくりすることが起きた。いや起こしたと感じるのだからそれも当然だ。

 私は、代表戦レベルでこれほどまでに前後半でチームが変わった試合を見たことがほとんどない。いかに監督の決断が大事か、改めて知ることになった。前半は、ドイツのビルドアップに苦戦した。後ろ3枚で回すボールを前線2人で追ったが、奪えない。中でボールを持つキミヒ、ギュンドアンに遠藤、田中が対応すると、空いたスペースをムシアラ、ミュラー、ニャブリに使われた。左で高い位置を取るラウムに、日本の武器であったはずの伊東が下げられ、日本が奪っても蹴ることしかできなかった。ドイツはパスコースだらけ。日本にはほとんど挽回策はなかった。かなり厳しく苦しい前半だった。

 この状況を森保監督が変えた。後半開始から3バックに変更した。特に冨安の投入が大きい。パスがうまく、奪われない選手が入ったことで、攻撃の組み立てができるようになった。3―4―2―1の布陣で目の前の相手を見るという形にし、懸案だったサイドを潰した。後半25分の権田の連続セーブもこの試合の分水嶺(れい)になった。

 百戦錬磨のドイツが、日本の変化に対応が遅れたのは、前半に日本を圧倒したことが大きい。格下相手に、変化する理由は見いだしにくかった。日本もドイツとの差を痛感させられたからこそ、0―1を「OK」のメンタルを持つことができ、「耐えれば何かが起きる」と思ってプレーしていた。この耐えれば何かが起きるから今は苦しくても我慢するというメンタル、そして、そこからの起死回生の一手を打った森保監督とそれに対応した選手たちの戦術理解力と能力の高さこそ、Jリーグ30年の歴史、過去6度出場のW杯の経験の積み上げがもたらしたものだと思う。

 人はそれほど変わらなくても、システムや戦術を変えればこれほどまでに状況は変えられる。システム・戦術があるからこそチームに厚み、深みが出る。森保監督の至極の一手が、歴史的勝利の道筋を作った。(元日本代表、川崎MF中村憲剛)

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