男女の枠を超え輝いたKAIRI…史上初の新日・スターダム合同興行の最後を締めた「1、2、3、ダーッ!」

スポーツ報知
史上初の新日・スターダム合同興行のラストを「1、2、3、ダーッ!」の絶叫で締めくくった初代IWGP女子王者のKAIRI(カメラ・池内 雅彦)

 その時、午後9時30分。新日本プロレスとスターダムという男女トップ団体史上初の合同興行の大トリを飾ったのは、米WWE帰りの美しく、華麗な女子レスラーの絶叫だった。

 降り続く雨の中、東京・有明アリーナに7102人の観客を集めて行われた「Historic X―Over」大会。オカダ・カズチカ(35)、棚橋弘至(46)ら日本最強、最大の団体・新日のスターたちを差し置いて、メインイベントのリングに上がったのは、カイリ・セインのリングネームでのWWEでの活躍の記憶も新しいKAIRI(34)とスターダムの「アイコン」と言われる岩谷麻優(29)だった。

 舞台は新設された女子最強のベルト・IWGP女子初代王者決定トーナメント決勝。岩谷がKAIRI(当時は宝城カイリ)からワンダー・オブ・スターダム王座を奪った17年5月の後楽園大会以来、5年5か月ぶりとなったシングル対決で誰もが認める女子トップスター2人は、まさに全力ファイトを展開した。

 序盤からKAIRIの手を激しく踏みつけるなどラフな攻撃に出た岩谷だったが、KAIRIも花道でのダイビングエルボーをたたき込む。激しいキック、張り手合戦も展開。串刺しドロップキックをたたき込んだ岩谷は「行くぞ!」と絶叫。雪崩式フランケンシュタイナーで追い込んだが、とどめのムーンサルトプレスはかわされてしまう。

 最後はKAIRIが強烈な逆エビ固めで追い込むと、コーナートップからの必殺・インセインエルボーで25分28秒の死闘を制した。

 華麗かつ過激な2人の戦いをコロナ禍の中、声を出しての応援が禁じられた観衆は大きな手拍子で後押し。劇勝を大きな拍手で称えられたKAIRIは笑顔で岩谷と抱き合うと号泣。マイクを持つと、「今日、大好きな麻優さんとバチバチを超える試合ができたと思ってます。新日さんと一緒の興行で、こんなに大きな会場でメインで試合をさせていただけて本当にうれしいです」と、また涙。

 「プロレスはキャリアも年齢も男女も関係ない。みんなのために素晴らしい試合をするだけです。プロレスを、もっと愛せば、もっと大きくできると信じてます。このベルトに今、命が吹き込まれました」と絶叫した。

 そして、リング上で次期挑戦者に名乗りを挙げた中野たむとの来年1月4日の新日・東京ドーム大会での初防衛戦を要求した後、この日のクライマックスの瞬間がやってきた。

 ベルトを肩に「IWGPと言えば、(アントニオ)猪木さん、これで締めましょう」と絶叫したKAIRI。そう、IWGP(International Wrestling Grand Prix)は10月1日に死去した元プロレスラー、元参院議員のアントニオ猪木さん(本名・猪木寛至、享年79)が提唱したプロレス界最強の証。

 偉大なる「燃える闘魂」の名前を口にした女子最強レスラーは一拍置くと「1、2、3、ダーッ!」と渾身の絶叫を繰り出した。

 その瞬間、155センチ、50・2キロの細身の体を包み込んだのは、最後の最後まで席を立たなかった7000人を超える観客の大きな、大きな拍手だった。

 降り続く雨の中、有明アリーナを後にして最寄り駅に向かう私の脳裏には「プロレスはキャリアも年齢も男女も関係ない」というKAIRIの絶叫が、ずっとこだましていた。(記者コラム・中村 健吾)

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