巨人からドラフト2位指名された慶大・萩尾匡也外野手(21)が19日、都内のホテルで入団交渉に臨み、契約金7500万円、年俸1200万円で仮契約した。背番号は「12」に決まった。今秋の東京六大学リーグで戦後16人目の3冠王を獲得したスラッガーは来季、中堅のレギュラー候補。慶大の先輩で巨人OBの高橋由伸氏のように、1年目から定位置を奪取する意気込みを示した。
全身に何か熱いものが流れたのを感じた。数日前。何げなくインターネットを開いた萩尾は「増田陸とセンター争い構想」の記事を発見した。「元々センターで、というのは自分の中で目標だった。そこは曲げずにやっていきたいなと思った」。友人たちからも次々と同様の記事が送られてきて、さらに気合が入った。
原監督が宮崎秋季キャンプ中の15日にスポーツ報知のYouTube「報知プロ野球チャンネル」に出演し、来季の外野陣の構想を披露。不動の中堅手だった丸を右翼に置き、増田陸や萩尾ら若手でセンター争いをさせるプランを明かした。萩尾は「できることを全力でやることが大事。原監督の期待に応えられるようなプレーができたら」と既に覚悟を決めている。
母校・慶大の先輩の足跡をたどっていければ、1年目からの定位置奪取にも近づく。憧れの高橋由伸氏は、3年春の東京六大学リーグで3冠王を獲得し、1997年ドラフト1位で巨人に入団。1年目から右翼のレギュラーに定着し、126試合で打率3割、19本塁打、75打点と好成績を残した。
由伸氏はそこから一気に超一流の階段を駆け上がった。萩尾は少年時代に父・秀二さん(63)と東京ドームを訪れ、三塁側スタンドから由伸氏の逆方向への一発を見たという。「すごく印象に残っています」と今でも憧れの存在だが、後輩の決意は固い。「高橋由伸さんを超えられるような活躍をしたい」と闘志を込めた。
昨年は春秋連覇を果たし、今秋は打率4割、4本塁打、17打点を記録して東京六大学で戦後16人目の3冠王を獲得。“由伸ロード”を志す21歳の青年は「トリプルスリーを目標に」と将来的な夢も語った。「熊本地震でたくさんの方が苦しい思いをされている中で、村上選手(ヤクルト)の活躍は勇気を与えてると思う。続いていけるように全力で頑張りたい」と故郷への思いも強い背番号12。まずはセンター争いに全力を注ぎ、偉大な先輩のように巨人の顔になる。(中野 雄太)