年収1000万円超の子持ちは「働き損」…大臣も認めた「子育て罰」問題、少子化解決が“無理ゲー”な理由

スポーツ報知
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 「子育て罰」というワードがネット上で注目を集めている。児童手当など所得制限などで恩恵を受けられない人が、頑張って働いても子育てに関する給付などはなくなり、たくさん子どもを産むほど苦しくなる現状を言い表した言葉だ。現在の制度の線引きで“高収入”とされる家庭の生活は決して余裕があるものではない。11月4日には、少子化対策、こども政策などを担当する小倉将信内閣府特命担当大臣も「子育て罰」という問題が存在することに国会答弁の場で言及した。

■大臣も認めた「子育て罰」

 4日の答弁では、児童手当の所得制限について話題にあがり、頑張って働いたことで夫の扶養から外れる年収になると児童手当が減額になるため「103万円の壁、130万円の壁で就業調整が行われる」「女性の経済的自立、経済分野への女性の参画が阻害される原因になっている」ことに野党議員が言及。これに対し小倉大臣は「子育て世帯の皆さまがたは、仕事をなさりながら、一生懸命、育児も手がけてくださっている方多いと思います。負担は相当なものだと思っておりますし、世間では『子育て罰』という言葉も出てきてしまっております。一生懸命育児と仕事をした結果、むしろ国からペナルティを受けていると思っている方がいらっしゃるのも事実であります」と「子育て罰」の存在を認めつつ、児童手当の所得制限の今後について「子供政策全体の中で検討させていただくことと考えております」と回答した。

■「子育て罰」で産み諦め

10月17日、28日にスポーツ報知WEB版で公開した第1弾、第2弾の記事では2人目、3人目を欲しかったが、給料の3分の1~4分の1ほどを税金で納めていても所得制限で支援のない児童手当、こども医療費(自治体による)、高額な0~2歳児保育料、高校学費、奨学金も申し込めない大学の学費の高さなどの不安から「産むのを諦めた」という所得制限世帯の声が多数寄せられた。11年に年少扶養控除が廃止となり、そのかわりとしての児童手当も所得制限でなくなったこと、消費税の増税や社会保険料などの負担も増えていることへの不満の声も多数上がった。

■高額な保育料と激務

 3歳の子供を育てる30代会社員の女性は、夫と共働きで世帯年収は1000万円超。今まさに2人目を産むか悩んでいるというが、一番の懸念は夫の職場が「ブラックすぎる」ことだという。帰宅は毎日深夜で朝も子供が起きる前に出社。土日も休日出勤などがあり、単身赴任で長期間家を離れることも。近くに頼れる親族や知り合いもおらず、「1人目は完全にワンオペ育児」だったという。女性自身もフルタイムで働き仕事と家事と育児を1人でこなし、全く余裕がないなか、認可保育園の保育料は8万円近くと高額。今後、助成外となる高校や大学の学費に不安があるといい「頑張って働いて累進課税で多くの税金を納めているのに、子供の支援が外されるということに悲しい気持ち」という。そして「それ以上に、日本のブラックな仕事の環境でワンオペ育児しながら自分もフルで働いて、2人目を産むなんて無理。もっと残業規制などを厳しくしてほしい」など、働き方の問題も訴えた。

■児童手当“廃止”で再燃

 中学生以下の子どものいる世帯に支給する児童手当が、夫婦のうちどちらかが年収1200万円以上の世帯で10月支給分から廃止となったことで、再び「子育て罰」の声が上がっている。一般的に高収入とされる年収1200万円世帯も、子どもの数が多ければ多いほど余裕はなくなる。さらにコロナ禍や物価高が家計に響いているとみられ、少子化対策に逆行するとの批判がある。年収1000万なら手取りは740万円ほど。ネット上には「累進課税でたんまり取られ、手当も控除もなく、どうやって昔の人のように子育てをしろと? 働き損の子育て罰」などの声が上がっている。所得制限は児童手当に限らず、高校無償化も基本的には年収910万円以下が対象。保育園の0~2歳児も自治体や年収によって異なるが、1か月に10万円近くの保育料がかかる場合もあれば、無料の世帯もあるなど、家庭によっては同じ内容のサービスを受けても負担が年間100万円以上と現状でも差が大きい。

■共働きに優しい自治体に期待

 この問題に、摂南大・堀田裕子教授(現代社会学部就任予定)は「フルタイムで働く人は、高い税金を納めていても、子育てに関することなど経済的に優遇されていない。出産後も働き続けようという女性にとって一番支援が欲しい時期の0~2歳児保育料も高いまま」と指摘。その上で「共働きに優しい自治体」の出現を期待しているという。共働き世帯への支援が充実した自治体なら、税収アップも期待できるとしたうえで「ただし、より深刻な困難を抱えるひとり親家庭への支援が大前提ではある」と話した。子育て世帯に優しい自治体としては兵庫県明石市なども有名で、子育て世帯の流入が実際に増えた例もある。今後さらに子供への支援がなくなるという不安感と、日本の長時間労働が解消されなければ、少子化解消は難しいかもしれない。

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