12球団合同トライアウトが8日、楽天生命パークで行われた。NPBでの現役復帰を目指して参加した巨人・小石博孝打撃投手(35)は、19年の現役引退から3年ぶりのマウンドで空振り三振を奪うなど、打者3人を相手に1安打1三振と好投した。また、巨人から戦力外通告を受けた井納翔一投手(36)と桜井俊貴投手(29)も力強い直球を披露するなど、参加49選手が各球団の編成担当者に最後のアピールをした。
3年ぶりの“登板”を終えた小石の表情には笑顔があった。NPBでの現役復帰を目指して参加したトライアウトで、打者3人を1安打1三振。「変な緊張感もなく、今出せるものを出し切れたかなと思います」。充実した表情で振り返った。
持てる力を発揮した。最初の打者は長打力のあるソフトバンク・中谷。変化球を低めに集めて追い込み、最後はこの日最速の129キロ高め直球で空振り三振に抑えた。20年から打撃投手で、普段は打たせることが仕事。それだけに「あ、三振って気持ちいいなと思いました」と笑顔。続く広島・安部は直球で三ゴロ、楽天・内田には左翼線二塁打を許すも、テイクバックの小さいフォームから投じた直球、スクリュー、カーブは、西武で現役引退してから3年のブランクを感じさせなかった。
今回の決断の経緯を聞かれると「自分の中で、こうやって動いたらもっといい球を投げられるなというひらめきがあって、それを自分の体を実験台ではないですけど、できたらいいなと思って」と説明。引退後に米国の理学療法士が作成した資格の「NASM―PES」を取得し、個人の体に合う動作パターンを勉強。その集大成も投球にぶつけた。
参加を後押ししてくれた巨人に対しても感謝した。異例の挑戦を終え「見てくれている方々が、どのような評価をしてくれているかだと思うので待つだけだなと思います」。再び夢の舞台の戻るための思いを込めた12球だった。(後藤 亮太)