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さらにイカつくさらに優しく…父と子の物語『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』に感じる父性

スポーツ報知
敵と戦う主人公のクレイトス(『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』より)

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは11月9日にプレイステーション5/プレイステーション4用の新作ゲームソフト『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』を発売する。2018年に全世界で大ヒット、同年の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」など多数の賞に輝いた傑作の4年ぶりの続編だ。

 「ゴッド・オブ・ウォー」と言えば、2005年、PS2時代から続くソニーハードの看板シリーズ。ギリシャ神話を題材に、スキンヘッドでマッチョな戦士クレイトスが神々に戦いを挑むアクションゲームで、やり過ぎなバイオレンス描写と豪快かつ爽快な操作性が話題を呼んで大ヒット。3部作と多数の派生作品が作られるなど、2つの意味で“神ゲー”と呼ばれた名作シリーズだった。

 そんな作品が完全新作として帰ってきたのが2018年。ギリシャから北欧神話に舞台を移し、タイトルも副題なしの『ゴッド・オブ・ウォー』として再始動した。主人公のクレイトスも年を重ね、あごひげモッサリのさらにイカつくなった姿で登場。いつの間にか誕生していた息子のアトレウスとともに旅する物語は、“父と子の絆”という要素が追加されてさらに進化。世界の終焉「ラグナロク」が近づいたことを示唆したまま、ゲームは一旦、幕を閉じていた。

 本作『―ラグナロク』はその続きから始まる新章で完結編だ。クレイトスの眉間のシワはさらに深まり、息子も思春期を迎えた。父子の関係はよりぎくしゃくとし、「息子に戦いに明け暮れた自分と同じ道は歩ませたくない父」と「一人前と認めてほしい息子」が意見をぶつけ合う姿も。ラグナロクが近づくなか、父と子の関係が変化していく姿も今作の見どころのひとつでもある。

 シリーズの一番の売りものである豪快なアクションもキレが増した。氷属性の斧「リヴァイアサン」と炎属性の双剣「ブレイズ・オブ・カオス」を使い分け、巨大な敵に挑む。弓使いの息子と協力して連続攻撃をたたき込むのは本作ならではの爽快感。難易度も絶妙で、ボス戦などでは何度かの失敗を重ねることで光明を見いだし、ぎりぎりで勝てるようになるシーンも多かった。ゲームはバランスだとよく言われるが、それを痛感する戦いの連続で、これはもう制作側が長年のシリーズで培った“巧みの技”と言うほかない。

 もう一つの軸になっているのがフィールドの大仕掛け。「この石碑を押すことであの足場が動いて…」といったパズル的な謎解きだが、これも難しすぎず、理不尽すぎない塩加減。複雑な謎が解けた時には頭いいね、自分! と勘違いを起こさせてくれる。

 クレイトス一行が巡る「九界(くかい)」は豪雪地帯あり、南国ありとバラエティー豊かで、とにかく広い。それがストレスにならないのは今作で導入された「ガイドボタン」のおかげだろう。R3ボタンを押すことで、次に進むべき方向にカメラアングルが自動的に移動する。これがあるとないとでは随分違う。無駄に悩まずスイスイとゲームを進められるのはこうした長大なゲームでは非常にありがたい。

 そのほかにも(これはシリーズの伝統でもあるが)ゲーム途中でのデータ読み込み待ちのない全編シームレスであったり、小さな段差ならボタンを押すことなく飛び越えるようオプションで調整できたりと、かゆいところに手が届く作りに感心する。クレイトスのイカつい顔には似つかない、すべてを包み込むような優しさ。これが父の愛というやつか(多分違う)。

 老婆心ながら一つだけ。『―ラグナロク』を遊ぶ前に、前作の『ゴッド・オブ・ウォー』はぜひともプレイしておくべき。簡単な「前作のあらすじ」もついてはいるが、自らの手で体験しているか否かでは物語の理解度が全く違う。秋の夜長に2本そろえて、まとめて楽しみたい真の神ゲーだ。

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